第1話
マサラタウン西の森。マサラタウンに程近い場所でロケット団を見失ってしまった。
「アイツら…どこに?」
リザードンの背中から降り、草が生い茂る地面へ着地をして呟いた。
(取り敢えず…奴等にもバレてしまうこの服装じゃ、探せないか…。警察にも見つかれば厄介…)
顎に手を当てて思い、ため息をついた。
「リザードン、誰か来たらすぐ言いなさい」
そうリザードンに指示をし自身は黒色の肩掛けバッグをどさりと地面へと落とす。フリルつきの黒服をバッグから取り出した。今来ているボロボロの黒ずんだ服を脱ぎ捨て、バッグの上に置いてある黒服を着る。黒い短いスカートをはく。ボロボロの黒ずんだ服を拾い上げ、バッグへと押し込んだ。ガサっという誰かが来た音が聞こえ、音が聞こえた方へと振り向く。
「気を付けなさい、リザードン…」
バッグを肩に掛けてフィーリアはリザードンに言う。
「わ…!カッコいい!!」
木の影から出てきた白色の帽子を被った少女が声をあげた。
「リーフ!先行くなって…!」
リーフと呼ばれた少女の後を追って、やって来た茶色の髪と赤い帽子を被った少年が、やって来た。
「ね!ね!このポケモンリザードンだよね!?」
リーフという少女がリザードンに興味を持ち、一歩、進んだ瞬間フィーリアは声を荒げた。
「触らないでっ!!!」
リーフはビクリと肩を震わせ、少年二人は驚いた顔をしてこちらを見つめた。
「……っ…ごめんなさい」
「わ、私が悪かったから…」
声を震わせながらリーフは謝る。ガサガサと回りの草は突如動き始めた。
「キシャアアア!!」
草から突如現れたのはザングースだった。
「ザングース!?」
グリーンがポケモンの名前を驚いた様子で言う。彼で戦えば、森が焼け野はらになる。後ろを振り返りそうになったが、リザードンを直ぐ様ボールへ戻し、リーフを庇う。
「きゃっ…!!」
リーフは飛ばされ、尻餅をつく。
「早く逃げなさい!!」
フィーリアは、地面に倒れ込み顔を上げて三人に言った。三人は頷き、マサラタウンへと走り出した。
「ここで、死ぬわけには行かないのよ!」
ザングースは切り裂くを繰り出して来たが、直ぐ様立ち上がり避ける。もう一度突っ込んで来ようとしたが、足を取られ倒れこんだ。
「ごめんなさいね?」
にっこりと微笑んで見下すような瞳でザングースを見る。ザングースは顔を上げたまま、怯えるような目でこちらを見つめる。命だけは助けて下さい、と言わんばかりのような目で。フィーリアは右手をすっと上げて、ロズレイドはザングースの足に絡ませていたツルをほどくよう解釈をし足に絡ませていた、ツルをほどいた。ザングースは立ち上がり逃げていった。フィーリアが背中を見せた瞬間、先ほど逃げていったザングースが、切り裂くを繰り出したまま、突っ込んできたのは気配で分かった。
「さっき謝ったのに…ね。手加減しないって意味も、合ったのだけれど…」
ロズレイドのヘドロ爆弾がザングースの背中に直撃し、苦しむように地面へと叩きつけられる。
「はぁはぁ…さっきの人、大丈夫かな…」
リーフは息を切らしながらも助けてくれたフィーリアのことを心配していた。マサラタウンへと走り三人は息を切らしている。
「どこ行ってたんじゃ!探したんじゃぞ?」
ファイアの家の近くで三人で入ると、聞きなれた声が前から聞こえてきた。
「じーさん!」
グリーンが名前を言う。
「ごめんなさい、ちょっと探検に」
リーフが呼吸を整え、オーキド博士に言う。
「なんと!?野生ポケモンに出会うから危険じゃと、小さい頃から言っとるじゃろ…」
「リーフはポケモンが貰えるから先走っちゃったんだ。許して上げてください、オーキド博士」
オーキド博士はリーフに怒ろうとしたが、すかさずファイアがフォローを加え、オーキド博士はうなだれる。
「研究所にきたまえ。取っておきのポケモンを渡そう」
苦笑いをしオーキド博士は三人に言う。三人はオーキド博士に連れられ、研究所へ歩きだした。
「モモンの実とオボンの実、食べなさい。毒は消えるし、体力も回復する。それじゃあね」
そうフィーリアは言い、ザングースと別れた。ロズレイドはチラリと木の実を食べるザングースを見て、フィーリアの後を付いていった。
「あのザングース、ヤツらのポケモンよ。やはり……。でも、捨てられたみたいね」
ロズレイドは言葉を発したフィーリアの顔を見るために見上げる。彼女は続けた。
「使えないからといって、捨てた…と見ていいでしょうね…」
ロズレイドは目線を彼女から、家が見えるマサラタウンへと向ける。
「最後に、命じたって所、かな。まぁ、全部推測でしかないのだけれど」
あきれた、と言った口調のような声でフィーリアは言った。数分後、歩いていると、声が聞こえた。
「警部、ロケット団は伝説のポケモンミュウを探しているのだとか?」
「信じかたいが、そうらしい。ロケット団は伝説のポケモンを使って何をしようとしているんだ!」
怒りの混じった声で、警察が声を荒げて話していた。いや、興奮ぎみと言えば良いだろう。木の影に隠れ、話を聞いたが、その後は聞けそうになさそうだ。諦めて、マサラタウンへと向かった。
「あ!待ってたよ!!」
リーフがゼニガメを抱いてフィーリアに言った。森の入り口はファイアの家の前に出た。彼女達は怪我もなく逃げ切れみたいだ。
「ね!ね!リザードンみたいに、強いポケモン持ってたら、リーグなんて余裕だったんじゃない?話聞かせてよ!」
「それは俺も気になるぜ」
「…オレも聞きたい」
ファイアの足元にはヒトカゲが立っている。グリーンの肩にはフシギダネがいた。
強引に、フィーリアはファイアの家に連れていかれた。ロズレイドはめんどくさそうな表情をしていた。ファイアの母親に、お茶を出され、無理やり嘘の話を作りあげた。
「強い人ばかりだったわよ」
こんなところで、話している時間など、無いのに。
どうして、こんな輝いた瞳で見つめてくるのだろうか。
まだまだトレーナーになりたての私に。
早く、見つけて復讐しなきゃ行けないのに。
「やっぱり、ワタルさん強かった!?」
リーフはフィーリアに尋ねる。
「ええ。とっても」
嘘。
嘘をついているのに、どうしてそんなに興味を示して。
聞いてくるの??
「ごめんなさい、私行くとこあるから」
早く、この話を終わらせて見つけなければ。椅子から立ち上がり、ドアへと一歩、進み振り替える。
「ええ〜…まだ話したばっかじゃない」
リーフは頬を膨らませて私を見つめる。
しつこい。そう思った私は、姫なんて資格はない。
いや、もう無くしてしまったか?
そうじゃないな。
復讐へと堕ちてしまった姫君は、彼らとと共に誰にも言わず、孤独と共にロケット団というヤツらを殺す。
大事なものそのものを奪った奴等に。
仇のために。
「オレらも話してる場合じゃないから旅しないと」
グリーンがそう切り出した。リーフはうなだれる。
「だって…私、グリーンやファイアのようなリーグで優勝!…なんて目標…ないよ。オーキド博士からゼニガメもらったけど…旅の目的ない…」
泣きそうな声でリーフは三人に言った。
「だったら、旅の中で探せばいいんじゃないかしら。きっと、見つかるわ。お茶、とても美味しかったわよ」
復讐とは違う、旅をしなさい。きっと、楽しいわよ。
お礼をいい、ファイアの家を後にしたフィーリアは、小さく息を吐いた。瞳を怒り目に変えて。ロズレイドと共に、一番道路へと足を踏み入れた。
一番道路で、情報を得た。トキワシティで見かけたと。黒服を着ていて、大きくアールと書かれた人を二、三人。直ぐ様、トキワシティへと走り出した。