17ページ目〜前を向いて〜
「私自信で、脱出しましたのよ」
「え」
みな、驚いた顔をしていた。
スイレンはゆっくりと説明をしてくれた。
「私は拐われたあと、すぐさまこちらの国へ来て、そのまま牢屋に入れられてしまいました」
「でも、記憶水晶は持っていたんでしょ」
「ええ」
フェルが聞くと、スイレンはうなずく。そして続けた。
「ヴィスに拐われるんじゃないか、というのは前々から気づいてましたわ。だから、この力と似た記憶水晶を作った。けど、リュウに使ったことで、今ごろ、壊れてますわね、きっと」
「リュウは災難だったってことだな。こっちも戦争するとかいって、一応準備はしてこっちに飛んで来たが」
レヴェンテが言うと、リュウは首を左右に振ってレヴェンテ達に言った。
「災難じゃないよ。むしろ、ヴィスには感謝しなきゃね。いい土産げが出来たよ」
「そ、そうなの?って思ったけどリュウとアマリリス、最初に来たときとは段違いね」
とセクトがふふっと喜びながら言った。こほん、とスイレンが場を自分へ向けるよう喉を鳴らした。
「お話を続けますが、最初から記憶水晶を扱えた訳ではございません。私が自力で出てこれたのも、克服したリュウ様と騎士団の方々がこちらへ来てくださったお陰です。牢屋を壊したのは、魔法の力で、ですけど。頑丈だったもので」
「用意周到ねスイレン」
「もう、あんな思いはしたかったから、です」
ルリがスイレンに言うと、スイレンの目は悲しい瞳をした。そういや、俺が、眠っていたのは2日だったようだ。アマリリスは思い出したかのように、騎士団達に聞いた。
「ところで、ヴィスというか、組織プレジールはどこ行ったの?」
「さぁ…」
フェルもお手上げ、と言った声をだした。すると、スイレンが口を開いて答えた。
「フュール王国の島とヴァーリンの合間に位置する、北にある大きな氷のお城がたぶん、プレジールの本拠地かと思われます」
と、スイレンは皆にいいライが頷き、言葉を発した。
「善は急げだ」
「そうだと、思って昨日の合間に準備しておいたよ」
アーバの王と王女と姫、次期姫のルリが騎士団の皆の為に、準備をしてくれていた。
皆、それぞれの水晶を思いを、想いを胸に秘め、部屋を出た。
「ルリ、ありがとう。それじゃあ、行ってくる」
もう、二度と会えない彼女に、最後の言葉をかけて、見送られた。
これが、最後の
俺が、冒険をした4日の話。
もうすぐ、俺の冒険が終わる。