11ページ目〜怒り〜
「火炎放射っ!!」
「ざーんねん。ここ、炎効かないんだよねぇ…キミ、馬鹿じゃなければわかるよね?」
蒸発する炎。ミカ以外驚いた。
「やっぱりね…私の
雷は何処だろうと、手段は択ばないッ!!」
フェルが、ミカの後ろを取ったと同時にそう叫んだ。
「へェ…さすが前の姫様を守れなかっただけあって、強くなってるじゃん」
「え…?どういう事…?それ」
ただ、驚いているのは俺一人。
ミカに攻撃され、蹲っているルリは悔しそうな顔をしているだけで、驚いているという様子は一切なかった。ただ、真実を知らないのは俺とアマリリスだけ。
ぎりっと歯を鳴らし、その場にいた三人が一斉にミカに攻撃をした。
フェルがレヴェンテがセクトが。
ミカを仕留める勢いで。
「あーあ…そこの三人、ほっといていいのかなぁ…私一人なわけ…」
にやりとミカは笑い叫んだ。
「ねーだろおッ!!ローザ!」
後ろに突如現れたジュペッタを察知し、俺は後ろを振り向いた。
「ジュペッタァっ!!よくもスイレンをッ!」
「へへっ…あの時のリベンジか?いいぜ」
「ルリ!アマリリスを頼む!」
「う、うん…!」
俺はそう辛そうなルリに無理言って頼んだ。
「シャドーボール!」
「ぐっ…あ!」
また、直で受けた。前と同じで、相変わらず狭い場所だ。壁へと打ち付けられたが、前よりは強くなったはずだ。野生ポケモンと戦い、少しの間だけどライたちと共に、特訓をした。ライは外で待機をしているが。大丈夫だろうか。と、思ったが今はジュペッタを逃がしたくない。目の前の奴を倒す。
「ドラゴンッ…クロ―!!」
炎がだめなら、近づくのみだ。突然の出来事にローザは驚き、吹き飛ばされた。
「ぐえぇ……」
「はぁ…はぁ…」
息を切らしながらも、後ろを振り向くと、ミカが倒れていた。ローザもミカも倒れていた。フェルはミカを見つめ、とどめの一撃をさそうとしたが、ルリが近づき止めた。
「ダメっ!ダメだよフェル…!!貴女も、分かってるでしょっ!?」
「っ…!」
フェルは持っていた腕を剣をゆっくりとおろした。ホッと胸をなでおろした俺はアマリリスのそばへと向かう。
「…ミカ」
小さくミカと、彼女の名前だけを呼んでいた。
「うっ…くくく…馬鹿だなぁ…キミたち」
ゆっくりとミカは起き上がり、ローザも起き上がり、ミカのそばへとやって来た。皆俺のそばへとやって来た。
「フュールとアーバの全面戦争してやろうか?あの時と同じように!そうしたら、スイレン、どうなると思う?分かるよなぁ、キミら三人は」
どういう事なのか全くわからない。前?フェルが隠してきた事話してくれなかった事。
「リュウ、分かんない顔してるね。教えてあげるよ。スイレンの前の姫様、戦争で亡くなったんだよねぇ…キミら三人が、ね」
「何言ってんのアンタッ!」
フェルの言葉に怒りが込められている。
「でも、止められなかったのは、キミらだ。ん?違うかい?」
「………」
返す言葉が無かった。三匹はうなだれる。
「ヴィス様に、報告しに行くよーローザ」
「せいぜい苦しめよ」
そういうなり、ローザの力でミカとローザは姿を消した。おもっ苦しい空気が漂う。
「…フェルが話したがらないの、こういう事だったんだね…ごめん…」
話したくない理由はずっとこれだった。スイレンの前の姫様の事や、全面的に過去を話したくなかった。でも前に戦争を起こしていたのは、ヴィスとの戦争か?
「……入口に戻るわよ…アマリリスの事もあるし」
「私も、すぐ王国へ戻らなきゃ…っ!!」
「待て、ルリ。落ち着け。王国はルリが言ったようにヴィスが率いてる組織プレジールが、支配しているのだろう?」
レヴェンテがそういうと、ルリは落ち着きを取り戻し、頷いた。
「俺たちは一旦王国へ戻る。お前らは、スイレンの情報集めをして、見つけたらそのまま助けるんだ」
「…分かりました」
スイレンを背中に乗せ、洞窟の入り口へと戻って来た。