4ページ目〜お嬢様と竜〜
ドゴォオオオン!!と王都全体に爆音が響きわたる。
「な、なに!?」
噴水は壊れ、水が地面へとこぼれ始める。噴水近くにいたポケモンは今の爆発音で驚き、怯えている。
『フェル!!きこえる!?』
水晶から、声が聞こえる。
「もしもし?どうしたのセクト」
襲われたのは恐らく、城。ポケモンの安全を確認し、近くにいた兵に宿へと避難させるようにフェルは指示をした。すぐさま兵は住民に近づき、宿へと案内させる。フェルは城へ向かうために走りながら、セクトの話を聞いた。
『城にいた兵士、皆傷ついて倒れてる。今手当てしてるけど、姫様の所に居るの、新人のリュウだけだよ!?』
「…今向かってる!セクトはそのまま傷付いた兵士を治療して!」
『了解!』
という声と共に、水晶からの声は無くなり、通信は終わった。
「フェル!!新人二匹はどうした!!」
横から走ってきた団長のレントラーが合流し、フェルに訪ねた。
「一匹は知らないけど、二匹だったのね。セクトから聞いたけど一匹はスイレンを護衛してるみたい」
二匹は全力疾走し、城へとたどり着いた。すぐさま、姫の部屋へと向かった。
〜*〜
「ッ!!」
「ぐっはッ…な…んだ…?」
壁に吹き飛ばされたリュウはゆっくり目を開けるが、部屋には砂が舞っていて良く見えない。
「リュ…ウ…!!」
「来い!スイレン!!」
「は、放してください!!」
声が聞こえる。放せというスイレンの嫌がる声が。けど、体が言うことを聞かない。
たった、一度だけでいい。技をぶちこむだけで、それでいい。
「もう、辛い思いをしたくない」
そんな言葉を発していた。
「あ?」
威圧的な声が聞こえる。
「スイレンを放せ、ジュペッタ」
煙がはれると、そこには赤い目をした黒い顔、赤黒い翼のリザードンが、スイレンの腕を掴んでいるジュペッタを睨み付けた。ジュペッタは舌打ちをし、サイコキネシスで嫌がるスイレン浮かせ、逃げれないようにし、リュウへと攻撃を仕掛けた。
「シャドーボール!」
「火炎放射ッ!!」
黒い影の玉を直撃し、呻き声を発するがジュペッタに火炎放射を撃ち込み、頬へ火傷させることに成功した。
「はっ…こんなもんかよ。こんなんじゃ、姫様を助けることなんてできやしねーぜ。じゃあな」
そうリュウにいいはなち、壊れた窓からスイレンを拐いどこかへ消えていった。外からは、パニックになっているポケモン達の声が聞こえる。まともに技を喰らい思うように体が動かない。
「リュウ!!」
ピカチュウの声が聞こえる。側へと駆け寄ってきたピカチュウはリュウの頬へと手を添える。リュウは掠れた声で彼女の名前を呼んだ。
「フェル…先輩…」
近寄ってきたレントラーが声を出した。
「リュウには、荷が重すぎなんだよ。あの王様、姫様には弱愛して自分は何も出来ない。だが、俺達が何とかしなければ、王様が何やりだすか、分からないしな」
「そう…なんですか……」
リュウは赤い瞳を閉じ意識を失った。
「他国との戦争なんて、やったら彼女が保たないわよ。そんなとこ、しないと思いたいけど。取り敢えず壊れていない部屋に連れて、彼を手当てしましょう。あと、私から王様に事情を話しておくわ」
「ああ、頼んだ」
レントラーはフェルに言い、リュウを担ぎ、壊れた姫の部屋から別の部屋へと移動していった。一方その頃、アマリリスは酒場にいるポケモンを、宿へと案内させ城へと向かっていた。レヴェンテとも合流し、事情を説明して戻ってきたフェルとも合流。部屋で休んでいるリュウ達の部屋へと向かった。