3ページ目〜騎士になった者達〜
ガチャリと大きな音を立てた扉は開く。奥には、椅子に座ったケッキングがこちらを見つめて待っていた。左右にはガラス窓。ガラス窓には白いカーテンのようなものが取り付けられている。床は城の入り口と同じの赤いカーペットがあった。扉を閉めて俺達は王が居る椅子へと近づく。
「キミが、リュウくんだね?」
「は、はい!」
突然確認され、王様の前だからか緊張する。
スイレンが名前を教えたのかなと思うが、名前は言わないことにした。ケッキングはニコニコして俺を確認する。
「そちらの彼女は?」
「えっと、アマリリスです」
アマリリスも緊張しているのか、王の言葉に少し戸惑う。
「……」
王は突然、話すのをやめた。目を閉じ、なにかを考え始めた。しばらくすると目を明け、椅子から立ち上がり綺麗な水晶を手から差し出した。
「キミ達は今から騎士になってもらう事にした」
「俺達が…ですか?」
「人数が足りないのでな」
ケッキングが言うと、椅子に座り、指示をだした。
「リュウは、娘の護衛を頼む。アマリリスは王都を見ておくといい」
「分かりました」
二匹はそう王に言うと互いの仕事をし始めた。リュウはアマリリスと別れ、教えられたスイレンの部屋へと向かった。アマリリスは城を出て、広い王都のなかを歩き始めた。どこも建物が大きい。目にはいった酒場の看板。そこへ行くことにした。
「いらっしゃい」
店のポケモン、クチートがそうアマリリスに行った。首にオレンジのペンダントを付けているのが分かったのか、お辞儀をした。
「あ!アマリリス!こっちこっち!」
器用に自分のリボンを使い、呼んでいる。ニンフィアだ。小さな村で出会い、色々教えてくれたポケモン。
「ミカ!来てたんだ!!」
ミカと呼ばれたニンフィアの側へとアマリリスは向かい、顔合わせで、出された飲みのを飲む。ペンダントに気づいたミカは呟いた。
「へぇ〜アンタ、騎士になったんだ。いいじゃん。頑張りなよ!」
「ええ、ついさっきなったばかりだけどね」
たわいない話をした。リュウのことも少し、話した。
〜*〜
「ごめんなさいね。お父様…フジド様の勝手な決断で、騎士にさせてしまって」
スイレンは自分の部屋にある外の光景が見える、窓を見つめながら、俺に謝った。
「いや、良いよ。騎士に憧れていたし。直ぐになれた事に驚きだったけどね」
リュウは窓をみているスイレンを見つめたまま、そう答えた。リュウは少しスイレンの部屋を見る。大きなベッドに、王の部屋で話した場所とほぼ、かわりなかった。お揃いということだろうか。部屋は3畳ぐらいだ。黙っていたスイレンは悲しい声で呟いた。
「そう…」
「…?」
リュウはその言葉の意味が分からなかった。
「嫌な感じがする…彼らが来てから…」
フェルは王都のど真ん中。隣で噴水の水が流れている場所でそう呟いた。
王都のどこかで悪は呟いた。
「作戦開始よ、皆」