2ページ目〜王都と城〜
草原を抜けると大きな街が見えた。
「あれが、王都よリュウ君」
「デカいな…」
思った事をそのまま口にだしたリュウは、感心していた。
かるく、外からだが日本の神社のような大きさだ。
あ、いや。日本の神社にもいろいろな大きさがあるが、有名な神社とかだとかなり大きい。それぐらい大きな王都だ。
口を開けてリュウはその場で固まっている。
「リュウ君、行こ。王都って色んな屋台とかいっぱいあるんだって」
「あ、うん。あるんだってって事は、アマリリスは行ったことないのか?」
リュウとアマリリスは歩きながらそんな話しをする。アマリリスは少し顔をうつむけ答える。
「うん…私、小さな村で育ったから。王都の事、話で聞くことしか知らないの」
その話を聞いて、聞いちゃ行けない気がした。だが、もう遅い。
「ごめん、アマリリス」
とっさに謝る。
「どうして謝るの?リュウ君は悪くないよ。さ、行こ!」
そうアマリリスに言われた。
少し気まずい。
アマリリスはそんな事すぐに忘れた様に、リュウの腕を引っ張り、走り出す。
王都に着いた。街のポケモンはわきあいあいと食べ物を食べたり話をしたりしている。王都の入り口で突っ立っていると、誰かが何かに気付き、こちらへと歩いて来た。
「お前か、リュウは」
「は…?え、はい。そうですけど…」
突然名前を言われ、戸惑いを隠せない。種族はボーマンダ。首には黒い水晶がぶら下げられている。街のポケモンも俺に気付き、珍しいからなのか、見慣れないからなのか、皆が皆、俺を見つめる。
視線が痛い。街のポケモンはざわざわからガヤガヤへと変わっていく。
「騎士様のレヴェンテ様とリザードンが話してるよ。知り合いかな?」
「さぁ?」
そんな声が聞こえてきた。
(フェルの言うとおり、何も感じないな…よし)
ボーマンダは小さく頷き、声を出した。
「ついてこい。そっちのミミロップもな」
ボーマンダに言われ、リュウとアマリリスは互いの顔を見つめる。
取り敢えず、ボーマンダと共についていくことにした。ボーマンダに付いていくと、大きな城の入り口へと案内された。
「おい、レヴァンテ」
「なんだ」
こんどは、城の中からやって来たレントラーとボーマンダが話を始めた。
「お前の後ろに入るヤツ、入れて良いのか」
「アイツが言うんだ。間違いないさ。さ、付いてこい。中を案内してやる」
レントラーと話を終えると、ボーマンダはチラリと俺達を見て、中へと入って行った。俺たちも続く。
レントラーに睨み付けられ一言挨拶をした。
「こ、こんにちは…」
そっぽを向けられ、外へと出ていった。
「感じ悪いわね、あのレントラー」
ポツリとアマリリスが呟いた。城の中は赤いカーペットがひかれていた。騎士のポケモン達は、ボーマンダと俺達を歓迎した。
「あら、おかえりなさい、レヴェンテ」
「あ…さっきの」
奥からスイレンが出てきた。一声発した俺。その言葉に気付きスイレンはこちらを見て、にっこりと微笑む。
「リュウさん、来てくださったんですね?そちらのミミロップはお友達?」
「ええ。アマリリスと申します」
アマリリスも挨拶をし、お辞儀をした。
「姫、俺は王様に彼らをあんなしなくては…」
口を開いたボーマンダは困ったような顔をする。
「ええ、ごめんなさいね」
スイレンが謝り、道を通してくれた。俺に手を振り、また後でと、言い残し来ていた道へと戻り奥へと居なくなった。
しばらく進み、廊下を歩く。大きな扉と共に、キラキラな水晶が扉の真ん中に飾られていた。
「さ、俺はここまでだ」
「え?え?俺達だけで、話をするんですか!?」
突然言われた言葉に俺はボーマンダをみる。
「話は多分アイツが通してるはずだ」
そういうなり、歩いて来た廊下を戻るボーマンダ。
「アイツって?」
その言葉にアマリリスは疑問を持つ。
「さぁ?俺も分かんない。ここにいても何も始まらないし…行くか…」
ため息混じりに言い、扉をゆっくりと開けた。