3話
シオンタウンへやって来た三人は、ポケモンタワーの一番最上階へやって来た。
「…………」
服装を変え、墓の前で立っている。
「お、お父さん?」
リーフが声をかけると振り向いた。
「リーフか…」
父親はスーツを着ていた。手には花束があった。
「………ここにはもう、来ないだろうからな」
墓に花束を添えて、そのまますれ違うように、リーフの父親はポケモンタワーから出て行った。
「………それより、なんでヤツがここに居るんだよ」
グリーンがため息交じりに言うと、イエローが言った。
「多分、花束を置いた場所に名前が書いてあるはずだわ」
「きっと母親でしょうね。ここはポケモンタワーと言うけれども、実は人の墓でもある。そう聞いたことがあるわ」
アランが付け足して言った。リーフが墓の前に行き、花束の隙間から名前を見て見ると、母親の名前が書かれていた。
「お父さん………お父さんっ!」
「…………気にしてたのね、あの人も。自分のせいで家庭が崩壊したんだもの。歪んでしまった心をリーフに少しは解かれたみたいね…。やってはいけないことをした。だけど、まだ何か……終わらない気がする」
アランがそうぽつりとつぶやく。最後の言葉はイエローにしか聞こえないように言葉を発した。
「終わらない……シナリオ…」
イエローがそう小さく呟いた。アラン達も、リーフの母親に墓参りをすると、マサラタウンへ戻っていった。いや、小屋に戻って来た。小屋の中で父親はつぶやいた。
「まだ綺麗に残っているようだな……リーフのために作ったんだ…ちゃんと、使ってくれているようだ」
「お父さん!」
ドアをバンと開け、リーフは叫んだ。
「君たちか…さっきはすまない。いや、…巻き込んですまなかった」
父の表情は、悲しそうな顔をしていた。
「リーフ……あの時、私をちゃんと父親として見てくれと言った時、とても嬉しかったよ」
父の瞳には涙が出ていた。
「…………」
アランは見ていた。まだ、彼の中には何かが宿ってる。それを解き放てば、どうなるかも……どうすればいい?彼女も、彼も救えない事に、不安とショックを覚えるアラン。
「くそっ………」
そう言ってアランは小屋から出た。
「アラン………」
イエローは小さく彼女の名前をつぶやいた。彼女もすっと彼らから離れ、小屋から出た。
「どうなるか、分かってるんだね…どうするの?このままずっと…」
「そんなわけないでしょ…ただ彼女が、ね」
リーフの事だろうと、分かった。イエローは唇を噛んで黙り込んだ。
「今はあんなに笑顔でいるけど…父親のシナリオ、終わらせてあげたいけど、彼女の覚悟ができてるのか…」
「私は私のやり方でやるわよ。まだ鍵は握ってるんだから」
そう言ってイエローはマサラタウンの方向へ戻っていった。
「へぇ…まだ持ってたのね…私はもう、持ってないけどどうしてやれることも、無いのよ。もう、何もできない」
そうアランはそよ風に吹かれながらつぶやいた。