2話
「………レッド、お帰り」
アランがそう小さく呟く。
「この世界を消さない限り、
未来には帰れないんだよ」
レッドが体が小さくなっている三人にそう、言った。
「そ、んな…嫌だよ、離れたくない。嫌だ嫌だ嫌だ!嫌だ!!」
リーフがそう叫んだ。
「ずっと一緒に旅したのに、なんでっ!!何でアランとイエローが、消えなくちゃいけないの!!!」
リーフはアランの服にしがみついて叫んだ。
「自分を恨んじゃだめだよ、リーフ」
アランはそうリーフに言った。
「自分が居るから、周りが苦しんで傷ついてる、そう思ってない?」
アランはしゃがんで、リーフの顔を見つめた。
「苦しいのは、皆同じ。でも、貴方が居なくなったら苦しむのは、誰?」
涙を流しながらリーフは後ろに振り向いた。
「リーフ……」
「リーフ…お前…」
ファイアとグリーンが私の顔を見て、私の名前を呼んでいた。一番に傷つくのはこの二人だと、彼女は知ったから。目線をアランに戻すと、アランは、
「貴方が願うのであれば―」
アランはリーフの耳元で囁いた。リーフはハッとした。手が震えていた。だけど、渡されたボールの中に居るのはセレビィ。別名、時渡ポケモン。消えてしまった時、奴の舞台が終わったとき、貴方が願うのであれば、このポケモンをボールから解き放て―そう、いう言葉の意味を示していた。
「イエロー」
アランはイエローの名前を言った。彼女は頷き、ファイアとグリーンに近寄り、しゃがんで言った。
「これを、貴方たちに託すわ」
そう言って二人に渡されたのは、二つのモンスターボ―ル。アランはリーフにせつめいをしていた。そして、私も二人に説明をする。
「いい?二つのボールの中に入っているのは、貴方たちが信頼していたポケモン、カメックスと、フシギバナよ」
二人は驚いた顔をしていた。消えてしまったポケモンが今、目の前に、俺達の持っているボールの中に居るポケモンがそうなんだと。
「あ…りがとう」
グリーンがそう言った。それでも、胸が締め付けられる。アランは説明が終わって、レッドを見つめていた。レッドは頷いた。
「さ、ポケモンセンターへ戻ろう」
そう言って、六人はポケモンセンターへ戻っていった。帰っている途中に、アランはリーフと会話をしていた。
「あ、そうそう」
その言葉にリーフは首をかしげていた。
「貴方は本当に、父親を止めたい?」
「私は……私は」
突然の言葉に戸惑うリーフ。だけど、リーフは顔を上げて言った。
「止めたい…止めたいよ」
その言葉にアランは言った。
「なら、良かった」
アランは小さく笑みを出してそう言った。その夜、アラン達が寝静まった頃、ファイアとグリーンとリーフはポケモンセンターの外に居た。
「………俺はずっとついていくよ、リーフ」
「いつだって、一緒だ。イエローが言っていたように、主人公は俺達三人だからな」
「二人とも……うん。そうだね。私たちも覚悟しなきゃ」
三人は、約束の指切りをした。三人の影は、三日月が照らす。温かく見守るようにー。