第四章 pocketmonster The past
1話
次の日、覚悟が決まった六人は、テンガン山という洞窟を進んだ。洞窟内は暗くて良く見えないが、奥へ進む。洞窟で一番最後まで進むと光が見え、洞窟を抜ける。

「ここが、奴が言っていた槍の柱か」

レッドはそうアランに聞いた。

「えぇ、そうよ」

そう言いながらアランは歩き始める。続いて五人も歩く。

「待ってたよ」

もう一人のアランがそう私に言った。

「……奥へ進みなさい」

イエローがそう四人に言った。覚悟は決まっているから、みんなはそのまま走る。残ったのはイエローとアラン。

「しようポケモンは六匹のフルバトルよ。そしてダブル。それでいいかしら?」

もう一人のイエローがそう私たちに言った。アランは言う。

「それで構わないさ。全ての決着をつけるのなら、なおさら良い!」

アランはモンスターボールを握る。イエローも。もう一人の自分たちもボールを握る。

「今ここで、決着を付けさせてもらう!!…キノガッサ!」

キノガッサをモンスターボールから出すと、キラキラと光った。そう、赤色のキノガッサ。本来は緑なのだが、このキノガッサは色違いのキノガッサだった。

「そして、もう一匹はラプラス!」

キノガッサとラプラスをアランは出した。さて、もう一人の私は何を出すんだろうか…?

「行け!サンダー!ファイヤー!」

準伝の鳥ポケか…。まぁ、そんなことはどうだっていい。私は口を開いて、二匹に指示をした。

「キノガッサ!サンダーにマッハパンチ!!ラプラス!ファイヤーに絶対零度だっ!!」

「………」

奴の口は一切動いてない。どういうことだ。

「あら、気づいてない?」

「何がだ」

奴は私に言った。

「気づいて無いようね?」

何が気づいてないと言うんだ?指示をしていないのに、サンダーファイヤーが攻撃していると言う事か?

「指示をしていないと言う事か。それはもう知っている。まずはお前のポケモンを見てから言うんだな」

アランがそういうと、もう一人の私は驚いた声を出して、ポケモンを見た。

「何…?」

「気づいたろ?私は二匹に一つの技しか、言っていない。だが、ポケモンは考え、トレーナーを信じているからこそ、できる事だ。さぁ、残りのポケモンを出してみろよ。私に勝てるのなら、な」

「き…さま」

もう一人の私は怒りに満ち溢れていた。私は冷静で、もう一人は怒っていた。なんだろう、悲しい気持ちになっちゃうな…。もう一人の私は、ファイヤーとサンダーをボールに戻し、二匹を出した。私も、キノガッサとラプラスをボールに戻し、別のポケモン二匹を出した。まだ体力があるのに、キノガッサとラプラスを戻した理由は、無駄に傷つけたくないからだ。

「ミミロップ!ボーマンダ!!」

私のポケモンは五体のみ。あとの二匹は、マイトで片づけるしかなさそうだ。

「フリーザー!レックウザ!貴様はここで負ける運命なのさっ!」

「………」

また伝説のポケモン。まぁ、慣れてるけどね。私は二匹のポケモンを見て頷いた。

「フリーザー吹雪だ!レックウザ!流星群を放てっ!」

ミミロップはボーマンダの背中にタンっと乗り、ボーマンダは空を飛んだ。流星群をボーマンダは避け、ミミロップはボーマンダに言った。

「あの伝説のポケモン達…あの子たちを呪縛から解き放ってあげましょ」

「あぁ。飛行は俺に任せろ」

二匹は会話をした後、急降下をした。

「レックウザ、お前は俺の技を避けられるか?流星群!!」

「はぁああああ!気合い玉!」

私は、ポケモンへの指示はしていない。絆があるからこそ、信じているからこそ、できる事なのかもしれない。ちらりとイエローの方へ見て見ると戦っていた。

「エーフィ!!サイコキネシス!」

もう一人の私たちは、どんな風に過ごしたのかな…戦う意味は決着を付けたいから。でも、なんでもう一人の私たちが私たちに立ちはだかるのか。気になった。イエローはそんなふうに思いながらも、エーフィに指示を出す。

「恩返し!」

イエローはもう一人のイエローのポケモンを倒していた。気づいたら最後の一匹だったみたいだ。イエローはもう一人のイエローに近づき、こう言った。

「どうして、奴のそばに居たの?」

アランは二匹をモンスターボールに居れ、リザードン、マイトをボールから出した。相手はリザードンとカメックス。

「運命の時を得て進化を超えろ!」

アランのリザードンはメガリザードンxに進化をした。

「一気に決着を付けさせてもらう!マイト!カメックスに雷パンチ!」

「カ、カメックス!ハイドロポンプだ!」

私は、相手の私は焦っていた。そんなに勝ちたいのか、と。未来の私に…。だけど私は勝つよ。何が何でも。

「な、なんで…リザードンの姿が変わったんだ!」

ほぉ、どうやらもう一人の私はメガ進化を知らないようだな…。カメックスのハイドロポンプをマイトは避け、カメックスのお腹に雷パンチを撃つ。カメックスは倒れ、リザードン対決となる。

「マイト!」

私はマイトの名前を言うと彼は頷く。

「火炎放射!!」

最大の攻撃をもう一人の私のリザードン目掛けて放った。

「終わった……あれだけの力を出したと言うのに…なんで…なんでっ」

もう一人の私はひどく落ち込んでいた。マイトのメガ進化は解除され、モンスターボールへ自分で戻っていった。私はもう一人のアランに近づき、抱きしめた。

「悲しむ必要なんてないさ…」

「わ…私は…」

槍の柱の柱が崩れかけて、柱がこちらに傾いていた。もう一人の私は何かを言おうとしていた。だが、崩れる音で何も聞こえない。一方、イエローは私と同じように、していた。

「何で、負けたかなぁ……」

もう一人のイエローがそうつぶやいた。イエローは胸が苦しくなって涙を流している。

「何で…だろうね……ねぇ、なんでアイツの所に居たのか、教えてよ…」

そう私は彼女に聞いた。

「それはね―」

最後、何を言っているのか分からなかった。聞こえなかった。もう一人のイエローは光の粒となって、天へ昇っていく。光の粒を見つめながら、呆然とその場から動かないイエローは柱につぶされた。アランも目を瞑り、最後に言った。

「戦えてうれしかったよ」

もう一人のアランは言った。

「ありがとう―」

彼女も、光の粒となって消えていった。アランは地響きと共に、柱につぶされた。


前を向いて、歩かなきゃね。




セレビィに願えば、私たちは帰ってくる。



だから、悲しまずに、前を、前だけを向いて、ね?

アラン ( 2016/07/11(月) 22:22 )