1話 黒と白 〜始まり〜
過去から現代へ戻って来たアラン達は数か月後、四の島の、ナナシマに来ていたアランとイエローは四の島で家を買い、家の中で外を見つめていた。
「奴のシナリオはまだ終わらないようね」
鋭い目付きを窓の外に向けながらアランは言った。
「………へぇ。まだ、終わらないんだね?楽しませてくれる、舞台は用意してあるのかしら??」
イエローは、冷たい氷と紅茶が入ったグラスを見つめながら言った。アランは机に置いてある二つの氷が入ったグラスに目線を向けて一度瞳を閉じて、もう一度瞳を開き言った。
「さぁ?もし、楽しい楽しい舞台が用意されていたとしても」
「………」
「それを止めるのは図鑑所有者の私達が止める事。ーー?」
アランが最後に何か言った瞬間、何かが上空から物凄い勢いで、落ちてきた。建物が燃え、島の人達は泣き叫んだりしていた。
「舞台の幕開けねのようね。行きましょ」
イエローはそう言って、椅子から立ち上がり、少し歩いて掛けてあった帽子をスッと手で取り、クスクスと笑ってドアを開けた。アランはちらりと、二つのグラスが割れ、こぼれた紅茶を見てそのまま目線をドアに向けて外へ出た。
「火を消すのよ、カメックス!」
「そんじゃ、私は奴との対面をして来ますかね」
アランはマイトをボールから出し、空を飛んだ。イエローはカメックスを使い、街の火を消す作業に入った。空へ飛んだマイトとアランは奴を見つけ、挨拶をした。
「よぉ、暫くぶりだな。リーフの父親さん」
「よく、私がここに居ると分かったな?」
ヤツが乗っているポケモンは七色に輝く伝説のポケモン。ジョウト地方に伝わる伝説のポケモン。二匹のうちの一匹、ホウオウだった。
「だってアンタ、リーフだけじゃ物足りなくて、イエローを自分の立場に戻そうとしてるでしょ?そんなの、バレバレよ」
そういうと、奴は鼻で笑った。
「はっ。ぐだらん」
「さて、今回の舞台はジョウト地方に伝わる伝説のポケモンの一匹、ホウオウらしいな。ふふっ、お手並み拝見と行こう。来いよ」
アランはマイトに捕まり、わざと挑発させた。島から離れ、海へ行く。
「ほぉ、私を誘導させるつもりか?良いだろ。」
ホウオウにアランを追うように指示をした。
〜2〜
「ふぅ…お疲れ様、カメックス」
汗をぬぐい、イエローはカメックスにそう言った。街の人にお礼をして貰いながらも、イエローは空を見上げた。ホウオウとアランのリザードン、マイトが海の方向へ行く姿が見えた。目線をカメックスに戻し、カメックスとイエローはうなずいた。
「ノワール!!」
黒いリザードン。メガ進化した状態のYのノワールはイエローを載せてアランを追った。カメックスを置いて。カメックスは街の人を守るため、残った。
「………私を戻してどうするつもりよ…けど、何が何でも中止させてやる!!守るためにもっ!!」
そういうと、イエローのノワールは加速した。アランにたどり着いたイエローは、奴に言った。
「まだ、続けてるんでしょ。メガ進化の実験を…いや、イベルタルの実験を」
聞きなれないポケモンをアランは聞いた。イエローは奴に聞いた。すると奴は笑ってイエローに言った。
「はっ…ははははっあははは!!…そうさ、まだ続けてるさっ!貴様が居なくなってもなぁ!!隣に居るアランは知らない顔をしているなぁ」
ただそれをアランは黙って聞いていた。二人の会話を。
「イベルタルって言うポケモンはカロス地方というここからとても遠い地方に居る伝説のポケモンだ。そいつを俺は使い、この地方を消す!」
「奴が言ってる事はほんとよ、アランさん。奴はイベルタルを使って世界を消そうとしてる。いや…一度消した、といった方がいいかな?」
消した、という言葉の後からなぜか笑っているイエロー。だけど私はイエローの表情は気にせず、その言葉を聞いて納得した。
「なるほどね…。だから、10年前のシンオウ地方はカントー地方はあるけど、消滅していたって事ね…でも、それは矛盾してない?今、この現代にカントー地方の街とかはあるのに…」
イエローは答えなかった。代わりにヤツが答えた。荒い息を出し、叫ぶように。
「今っ!貴様の隣に居るイエローが10年前、復活させたのだ!!消し炭にした街をな!!」
「そう…イベルタルは破壊をするポケモンであり、元に戻すことのできるポケモンも居る。その名はゼルネアス。私はゼルネアスを使って、現代に戻したのよ。人も、ポケモンも、街も森も、カントー地方全部をね?」
その言葉を聞いてアランは納得したと同時に疑問も生まれた。じゃあ、どういう事?イエローは現代の人間だけど…過去に行って戻したって事?出身はカントーで私たちと同じ、マサラタウン……。
「ここは私に任せて、アランさんは私の事調べておいでよ。この鍵、渡すから…さっ!」
考え込んでいると、イエローは私に自分の家の鍵を投げ渡された。自分で調べてこいと言われた。
「けじめは自分でつける」
そう言って、イエローは奴を見つめていた。イエローはアランが飛び去るのを見た後、フッと笑って奴にこういった。
「舞台から降りてもらうわよ!」