6話 黒と白 〜闇と光〜
悪夢の連鎖を、今止めなくては。後戻りさえ、もう何も出来ない。
月が耀き、光る。電気も付けず月の明かりだけで、洗面所へ向かう。
「ぐっ…!」
口から血を吐き出した。
「…そろそろ、限界の…用だな」
洗面所のガラスを見つめて呟くと、もう一人の私が表に出て来て私に言った。
「最後までやり遂げろよ、なぁ?前に自分で言ったじゃないかぁ!!私がしてきた事を何がなんでもやり遂げる、と。忘れたとは言わせねぇぞっっ!!!」
もう一人の私が言うとパキッとガラスにひびが入った。表の自分と裏の自分。割れたガラスが見にくい闇を私を、嘲笑うかのように見えた。口から出る血を袖で拭き取り。さっと離れ歩き、洗面所を後にした。机にはワインとコルクそして、赤ワインが入っている、ワイングラスが置いてあった。月明かりでより、真紅に輝いた。玄関へ歩き、ドアをカチャリと開ける。モンスターボールを握りしめ、二の島の外に行く。モンスターボールから、赤と黒のyの文字をしたポケモンを出した。
「すまない、約束を…破ってしまって」
キラリと涙が輝いた。
「あ!アラン!」
朝になり、四の島で合流したリーフ、ファイア、グリーンはアランとイエローを見つけた。
「…リーフ」
悲しい声をアランは出した。近寄ってくるリーフ達。まるで、自分がリーフを絶望の淵に叩き落としているかのような感じがした。
「……大丈夫?」
リーフが心配な顔をして私を除いていた。
「ちょっと来て」
そう言ってイエローは森の方へ歩いていく。リーフと、ファイア、グリーンはイエローについていく。グリーンの後ろから私は付いていった。森へついた。イエローは振り返り、リーフに言った。
「彼を止める覚悟、ある?」
「イエローッ!!」
アランが叫んだ。隠しておくべきだと。あの夜に約束したのに。
「まだ、何か…隠してるの?」
リーフが言った。
「や……彼を倒すと、昏睡状態になるよ。それでもいいの?」
「お前ッ!」
アランはイエローにお前と言い、イエローに近づき、肩を掴む。私は彼女を睨んだ。
「隠したって、倒したら同じ結末よ。今話した方が楽じゃない。それとも何?怖いの?」
アランはイエローの肩を握る力が強くなった。
「っ…!貴方ねぇ、救えない運命だってあるのよ?それなのに、頑張っちゃって。恐れてるんでしょ?ねぇ、言いなさいよッ!!」
「やめてよっ!!!!」
リーフの声が森全体に響いた。ファイアとグリーンはリーフを見つめる。
「私が、大事なのは分かるよっ!でも、私の事で争わないでよっ!!!」
アランはイエローの肩を掴んだままリーフの言葉を聞いた。グリーンがアランに近づき、アランをイエローから離れさせ、暴れないようにした。
「はなれろよっ!」
「っ…!!離してよ!アンタには関係ないでしょ!?」
そう言って私は暴れる。すると、リーフが近づいてきて、私の頬にビンタした。パァン!という音が鳴る。
「関係ないわけないでしょっ!!アラン一人の問題じゃないんだからっ!!!」
私はビンタをされて、リーフの顔を見る。怒ってる顔、初めて見た。私のために、皆のために怒ってる。そんな感じがした。
「最初から…分かってたよ。お父さんが、居なくなるってこと…全部、アランとイエローの顔で…見抜いてた。苦しいけど、それが運命なら、私は…私は逃げないよ。だって、そばにはお父さんや、仲間の皆がいるから。待ってるはずだから、早く、救ってあげよ?一番苦しんでるのはお父さんだから」
そう言ってリーフは一人で森の出口へ歩いていく。残った四人は歩いて行くリーフの後ろ姿を見つめていた。ストンと地面へ座ったアランは、頬を擦りながら、さっきの言葉が脳内によみがえった。一人の問題じゃない…か。そういえば、前に自分で言ったっけ。苦しんでるのは、一人じゃないって…。その事、忘れてたなぁ。私は立ち上がり、三人を見た。イエローを見つめて私は口を開いた。
「ごめんなさい…イエロー」
すると、イエローも。
「私も、言い過ぎた。ごめんねアラン」
ファイアとグリーンは謝った二人を見て、微笑んでいた。
「さ、行こうよ。リーフが待ってるよ」
ファイアが言うとイエローは頷いた。アランはグリーンに振り向いて言った。
「グリーン、ごめんなさい」
「べ、別に…謝っても、当然の事をしただけだ!…でも、リーフがアランをビンタするなんて、ビックリした」
グリーンはポツリと言った。ファイアは歩いている。イエローも。グリーンと私も歩いて会話をした。
「私も、ビックリしたよ…あのビンタは、頭を冷やせって事も入ってそうだけど。でもそのお陰で、目が覚めたよ。リーフには、感謝してる」
「だな」
グリーンはニコニコとそういった。森を抜け、それぞれの空を飛べるポケモンを出し、二の島へ行く。
全ての覚悟と決着を付けるために。