5話 黒と白 〜手の届く範囲〜
ベッドまで連れて行ってくれたカンナさんは、台所で料理を始めた。
「………」
ベッドで寝込んでる私はイエローの帰りを待っていた。
「ただいまって…カンナさん何してるんですか?」
少ししたら帰って来たイエローはドアの前で立ち止まりカンナに聞いた。
「アランが熱出して倒れ込んじゃってね」
「そう言う事ね」
そう言ってイエローは少し歩き、椅子に座った。カンナが黙って料理を作っている。アランもイエローも会話は無い。台所で鳴る包丁の音と沸騰する音だけが部屋に響いた。アランは布団を被りながら、天井を見なながら考えていた。
手の届く範囲で守ったり助けたりしたいけど…何か嫌な予感がして気分悪い。鍵はきっとリーフ。よし…。
アランは心の中で頷き布団をどかして椅子に座った。
「……」
イエローは私を見て小さく頷いた。カンナから料理を貰うと私は食べた。カンナは私にご飯を作ると自分の家へ戻っていった。1日安静にして夜中、イエローが声をかけてきた。
「どうやら、鍵の意味が分かったみたいね?」
「まぁね。ところで、実験の事だけども」
熱が下がったアランは椅子に座ってイエローに言った。家の電気も付けず、月明かりが家の窓から入ってきている。
「…私が何故、止めなかったか、そう言いたいんでしょ?私は途中で止めたわよ。ただ、そのあと、まさか続けてるなんて知らなかった。知った後も私は奴を止める方法を考えてたわ。そしたら…」
「…そしたら、鍵を握る人物がリーフだった…」
アランが言うとイエローは頷いた。
「止めてあげましょ…本当に止めるのは、彼女自身だけど、ね」
イエローが口を開いてそう言うとアランは椅子から立ち上がり、ドアへ向かい、振り返りイエローに言った。
「行くわよ」
「分かってる」
イエローもドアへ向かい、ドアを開ける。三日月が私とイエローを優しく見守るように照らしていた。