エピローグ
数日間だけ、楽しく父と過ごしたリーフ。父は警察に連れていかれ、リーフは一人家に居た。
「………お父さんが残して行ったポケモン…ウインディ」
ボールの中に入ったウインディをギュッとリーフは握った。
「……?」
くんくんと匂いを嗅いでみる。外から匂いがする。ウインディを持ってリーフは外に出た。
「アランの家からだ……行って見よ」
そう言ってリーフはアランの家に行き、インターホンを押す。
「はいはーい」
エプロン姿でアランがドアを開けた。
「何してるの?」
「単に、クッキー作ってるだけよ。中にはイエローも居るわ。せっかく来たんだし、クッキー…いる?」
なぜだろう、リーフを見ていると胸が苦しくなっていく感覚がした。
「それじゃあ…失礼します」
アランは冷たい紅茶を入れて、リーフに差し出した。
「ありがとう、アラン」
「どういたしまして」
リーフからお礼を言われ、焼きあがったクッキーの出来を確かめる。
「……悪くないわね。できたよ」
そう言ってお皿に入れて出してくれた。
「ところで、何の話してたの?」
リーフはイエローに聞いた。
「別に…」
「それじゃあ、話しにならないよ!」
「ごめん、ちょっと上行ってくる」
リーフが言うと、アランはエプロンを付けたまま二回へ上がって行った。
「あ…うん」
リーフはそう言った。
「…………」
二階にばらまいてあった資料を片付ける。片づけていると、一枚の資料を見つけた。
「これって…確か」
ずっと前にリーフの事を調べてた資料…だね。一年前だっけ。懐かしいな。そう思い資料を本棚へかたずけた。
「…………本当に、救いがないのかな、イエロー?鍵は握ってるって言ってるけども…まぁ、それは今言っても仕方ないか」
「アラン…」
気づいたらリーフが二階に上がって来ていた。
「どうしたの?」
そう私は言うとリーフは袋に入ったクッキーを手に持って言った。
「これ、お父さんのお見上げ…持って行っていいかな?」
「……優しいんだね。いいよ、持って行ってあげて。きっと、喜ぶからさ」
そう言うと、リーフは笑顔になって、私の家を出て行った。
「親子は親子なのね……私もイエローも両親いないからわかんないけど…持って行ってあげてって言ったのは良いけど…リーフに危険が及ぶのはいつなんだろうか…まだ舞台の幕は閉じられてない。警戒しておかないとね…」
アランはそう一人でつぶやいた。
私の中の心が…やっぱり、ダメなのか?
「お父さん…ずっと待ってるから、いつか帰って来てね?」
今度は、私がお帰りって言ってあげたい。
私の中の闇が壊せと、言っているような、気がした。