9話
下の階では爆音が鳴り響いていた。音を気にしながらも、目の前の事に集中して走る。
「っ…!」
目の前に居たのはデオキシスだった。
「……先に行きなさい。ファイア、グリーン。…無駄にしないでね」
アランがそういうと、マイトを出した。マイトも自分も傷ついてそろそろ限界。だけど、何とかしないといけない。ファイアとグリーンはアランの横顔を黙って見た後、二人は顔を見て頷き、走って奥へ進んでいった。
「あの時の、リベンジよ。デオキシス!!」
アランがそういうと、マイトは炎を吹いた。ニシキ…お願い…スピードフォルムを!アランは汗を流しながら、マイトに指示をした。
「火炎放射!」
デオキシスはスピードフォルムで素早く火炎放射を避ける。やっぱり…よけられるわね。厄介な幻のポケモン…。デオキシスは四つのフォルムチェンジを駆使する。そして、マイトに攻撃技を支持をしたり、防御をしたり時間を稼ぐ。
「………っ」
マサキはモニターとキーボードを見ながら打ちながら、作業をしていた。
「何とかしないと…!」
この作業をして20分。指先の感覚が…麻痺してきた。指の感覚を無視しながら作業を続けた。
「……!あの技は…サイコブースト……!」
マイトによける指示をする。だけどマイトは私を抱いて、サイコブーストを直に受けた。マイトと私はサイコブーストと爆風に吹き飛ばされた。
「ッ…あ……!!」
壁に激突してそのまま意識を無くしかけたが、頭から血を流しながらマイトの名前を呼んだ。
「マ…イト…」
マイトの後ろ姿を見ると、デオキシスが暴れていた。
「や…やった…やっと…やっと解除できた…」
解除をすると疲れ果ててそのままドサリと床へ座った。サンダースとシャワーズの手に持っているのはルビーとサファイアを持っていた。やっとスピードとディフェンスを使えなくなった。
「はぁ…はぁ…ご、ご苦労様、サンダース、シャワーズ」
はい、と渡されたルビーとサファイアを手に持って二匹にニシキは言った。二つを持って、二匹のポケモンを出したまま、ロケット団アジトから出て、シーギャロップ号へ戻っていった。
「マイト……しっかり…して…」
マイトの頬を触りながらアランは言った。マイトはゆっくり、目を開けて微笑んだ。
「よかっ…た」
マイトは、アランを立たせて、マイトとアランはデオキシスを見る。アタックとノーマルを繰り返しチェンジしている。チェンジが収まり、ノーマルへ戻った。デオキシスはゆっくり立ち上がり、ポケモン図鑑を差し出された。
「…っ…なんの冗談よ」
「操られていたんだ、デオキシスも、ミュウツーも」
聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。後ろを振り向くと、レッドが言っていた。レッドはマサキに支えながら言っていた。マサキもレッドも私と同じように傷ついていた。目線をデオキシスに戻すと、ポケモン図鑑をずっと差し出したままだった。手を出して受け取ると、ポケモン図鑑から文字が出ていた。
『チカラヲカソウ』
そう、文字が出ていた。
「デオキシス…」
『ナカマヲキズツケテシマッタカラ、タスケテモラッタオレイトシテ』
レッドの図鑑にも、アランの図鑑にもデオキシスの言葉が出ていた。
「ありがとう、デオキシス」
私は微笑むとミュウツーを見て、レッド達を見つめ頷いた。
「行こう、ヤツのもとに」
「あぁ、これが俺達の最後の戦いだ」
アランが言うと、レッドは頷いてそう言った。マサキに支えられながらも、三人はマイトとデオキシスを回復させた後、歩き出した。三人共、傷つきながらも、奥へ進む。
やつは、きっとジョウトへ行くはず…行くんだったらジョウトで、彼女自身が決着をつけるはず。私たちにとっては、最後の戦い。目つきを鋭くしながら、そう思ったのであった。