ナナシマ編
6話
「……うっ…」

目を開けると白い天井が見えた。体を起こすと、そこに居たのは父とデオキシスだった。リザードンが居ない今、飛行手段を失ってしまった。

「………」

リーフは目つきを鋭くして、父をにらみつけた。にらみつけた後、キョロキョロ周りを確認をした。すると、父が話しかけて来た。

「ここはトレーナータワーだ。だが、トレーナーは何処にもいない。居るのはロケット団員だ」

なれなれしく話しかけないで。と、リーフは思った。リザードン…何処に居るの?お願い、仲間たちにこのことを、知らせて!リザードン!!






〜2〜

リザードンは洞窟の研究室に居た。ゆっくりと体を動かした。

「……ヤツは……何処だ…。リーフ、待ってろ…俺が今…助けてやるから…」

今いるのは自分だけ。だが、ポケモンの言葉などポケモンとリーフだけが分かる。だが、俺だけじゃリーフを助ける事なんてできやしない。洞窟を抜けて、翼を広げる。嫌な空だ。空全体が黒く覆われていた。一の島なんて、人間やポケモンが、倒れている。涙を流している人も居れば、叫んでいる者も居た。人間は、『カントーの五人組を見つけ次第、牢屋に居れろ』と叫んでいる。五人組…つまり、レッド、アラン、ファイア、グリーン、リーフ…か。彼らが何をしたって言うんだ。何もしてないじゃないか。人間の言葉に怒りを覚えながらも、俺はシーギャップ号を目指した。




〜3〜


「……俺ら二人はデオキシスと戦った」

レッドは。椅子に座ったまま、そうファイアとグリーンそしてマサキとニシキに言った。

「アイツは……」

アランがベッドに横たわってそうつぶやいた。つぶやいた後、布団の中に潜り込んだ。

……ヤツはリーフを求めすぎて歪んだ心。戻すことなんて、できるんだろうか?私のせいで、リーフが連れ去られたもの…。気分が良くない。いろいろな感情が入り混じって吐き気がしそうなほどの想いにかられていた。盗聴器と発信機は付けてあるから…バレて居なければ、壊れてなければ、見つけることができる。だけど、今の私たちにデオキシスに対抗できるのか?

「戦うか、戦わないか。結局俺達がこの島に来てしまったから、島の住民は俺達に怒りをぶつけてる。島の住民の怒りを鎮めるには、俺達は戦う事しか選択肢は残されていないんだ」

グリーンが布団をひっぺ返しそう言った。

「リーフを連れ去れたのも、俺達がちゃんとしてなかったからだ。狂った父親から引きはがしてやろうぜ、リーフを」

アランは体を起こして、皆一斉にグリーンの言葉にうなずいた。

「ガウッ!!」

聞き覚えのある鳴き声が外から聞こえた。ファイアが外へ行くとそこにはリーフのリザードンが居た。

「リザードン!おい、大丈夫か!?」

グリーンが駆け寄り、リザードンを心配した。

「どうやらリーフは、トレーナータワーに居るようね」

アランが腕を押さえながら、甲板へ出て来た。

「言葉が…わかるのか?」

グリーンが後ろに振り向いてアランに聞いた。

「………えぇまぁ」

「…トレーナータワーは七の島にいかんと行けへんで」

マサキが少し間をあけて言った。

「ワイもできるだけ、手伝うわ…一応、ポケモン持ってきてるし。リーフが居ない分、戦力は必要やろ」

そう言ってマサキはモンスターボールをだした。私には、作った笑顔に見えた。リーフの父親の日記を見てしまったのだから、そうなってしまっても仕方がない。まぁ、私は最初から分かってたけども。この事件も、半年前の事件も全部、リーフの父親がかかわってるって事も、ね。ポケモン図鑑が取られてしまったから、デオキシスの変化する姿も調べることができない…。

「なぁ、アラン。お前、ポケモン図鑑取られただろ」

考え込んでいると、レッドが言って来た。

「え…取られたってどういう…」

「言えよアラン。黙ってちゃ何も分からないだろ」

ファイアが驚いたような声を出して、いつもとは違う声でレッドが私に言う。

「………取られたよ。アイツに。デオキシスと戦ってる時に。鋭い刃物みたいなデオキシスにバックの中身に在った、資料も、図鑑も取られた」

俯きながら、そうレッドに言った。

「……やっぱりか。図鑑を頼る素振りが見え見えなんだよ、お前は。ま、取られたなら取り返せばいい。行くぞ、七の島に!!」

レッドが言うと皆頷いた。そして、船乗りの人はスピードを上げて、七の島へ向かった。

アラン ( 2016/06/21(火) 00:06 )