第一章 ジョウト地方へ
3話
「……よし」

ポケギアを持ったまま、呟いた。外で夜空を見つめていると、オーキド博士が中から出て来た。

「おぉ、リーフ。シルバーの事じゃが…あまり姿を見せない方がいいじゃろう。シルバーはロケット団を憎んで居る。気を付けるんじゃぞ」

博士に言われると、私はうなずいた。オーキド博士はすぐさまオドシシを出して、コガネシティへ向かった。グリーンからの連絡を待っていると、ヒビキ達が家から出て来た。私は、ポケギアを持ったまま、リザードンを出して、ヨシノシティへ飛ぶよう、リザードンに指示をした。

「待て!」

「ちょ、ちょっと…シルバー!」

シルバーがリザードンに乗っている私に声をかけた。というより、止めた。コトネは焦っている。

「俺とアイツだけで話がしたいんだ!お前らは早く届けろ!」

「…わかったよ」

「シルバーのケチっ!」

ヒビキとコトネはシルバーの顔を見ながら言った。二人の姿が見えなくなった瞬間、私は言った。

「慕われてるのね、あの二人に」

「それがどうした。俺には関係ない事だろ」

二人は会話をしている。その場から一歩も動かずに。

「………そうゆことね…いい加減行ったら?いつまでも、そこに居ずに…さ?」

謎の場所で、そのことを聞いた謎の少女はそうつぶやき、その場に居た、もう一人別の人物に言った。

「はぁ…ま、いいわ。さ、仕事仕事」

少女はため息をついて、一人どこかへ歩いた。そして、何かをバッグに入れてそのまま姿を消した。

「お前、ロケット団だろ!」

「……っ!」

今、思い出したくないことを思い出した。

「………」

けど、今は彼に構ってる暇なんてない。今は別の事をしなくちゃいけない。黙ったまま私は彼の元から去っていった。彼は何か言ってるようだけど、そんな言葉なんて耳に入らない。入れられない。半年前のあの出来事でいっぱいだから。

「………そんなに思い出したくない…か」

そう、誰かがつぶやいた。




〜2〜

「おい!待て!……チッ…でも、黙り込んでいたって事は、アイツ、ロケット団なのか?あーくそっ!博士に聞いとけばよかった」

一人でブツブツ言っていると、ポケギアがカチカチなりだした。電話を取ると、ヒビキの声が聞こえた。

「おーい、シルバー!早く来いよ!オレ、くたびれるぞ!」

「勝手にしろ!」

シルバーは怒りながら言うと、今度はコトネの声が聞こえた。

「シルバーのケチー!シルバーなんてもう知らない!いこ、ヒビキ!」

そう言ってどこかを歩いている。

「はぁ…わかったよ。今どこに居るんだ」

シルバーはため息をついて、ヒビキ達に言った。

「今、ヨシノシティに居るよ」

「分かったよ、すぐ行く」

そう言ってシルバーはポケギアの電源を切り、ワニノコと共に歩き出した。

(今度会ったら、問い詰めてやる…!必ずな!)

そう、シルバーは心に誓った。

アラン ( 2016/06/08(水) 02:16 )