3話
「……よし」
ポケギアを持ったまま、呟いた。外で夜空を見つめていると、オーキド博士が中から出て来た。
「おぉ、リーフ。シルバーの事じゃが…あまり姿を見せない方がいいじゃろう。シルバーはロケット団を憎んで居る。気を付けるんじゃぞ」
博士に言われると、私はうなずいた。オーキド博士はすぐさまオドシシを出して、コガネシティへ向かった。グリーンからの連絡を待っていると、ヒビキ達が家から出て来た。私は、ポケギアを持ったまま、リザードンを出して、ヨシノシティへ飛ぶよう、リザードンに指示をした。
「待て!」
「ちょ、ちょっと…シルバー!」
シルバーがリザードンに乗っている私に声をかけた。というより、止めた。コトネは焦っている。
「俺とアイツだけで話がしたいんだ!お前らは早く届けろ!」
「…わかったよ」
「シルバーのケチっ!」
ヒビキとコトネはシルバーの顔を見ながら言った。二人の姿が見えなくなった瞬間、私は言った。
「慕われてるのね、あの二人に」
「それがどうした。俺には関係ない事だろ」
二人は会話をしている。その場から一歩も動かずに。
「………そうゆことね…いい加減行ったら?いつまでも、そこに居ずに…さ?」
謎の場所で、そのことを聞いた謎の少女はそうつぶやき、その場に居た、もう一人別の人物に言った。
「はぁ…ま、いいわ。さ、仕事仕事」
少女はため息をついて、一人どこかへ歩いた。そして、何かをバッグに入れてそのまま姿を消した。
「お前、ロケット団だろ!」
「……っ!」
今、思い出したくないことを思い出した。
「………」
けど、今は彼に構ってる暇なんてない。今は別の事をしなくちゃいけない。黙ったまま私は彼の元から去っていった。彼は何か言ってるようだけど、そんな言葉なんて耳に入らない。入れられない。半年前のあの出来事でいっぱいだから。
「………そんなに思い出したくない…か」
そう、誰かがつぶやいた。
〜2〜
「おい!待て!……チッ…でも、黙り込んでいたって事は、アイツ、ロケット団なのか?あーくそっ!博士に聞いとけばよかった」
一人でブツブツ言っていると、ポケギアがカチカチなりだした。電話を取ると、ヒビキの声が聞こえた。
「おーい、シルバー!早く来いよ!オレ、くたびれるぞ!」
「勝手にしろ!」
シルバーは怒りながら言うと、今度はコトネの声が聞こえた。
「シルバーのケチー!シルバーなんてもう知らない!いこ、ヒビキ!」
そう言ってどこかを歩いている。
「はぁ…わかったよ。今どこに居るんだ」
シルバーはため息をついて、ヒビキ達に言った。
「今、ヨシノシティに居るよ」
「分かったよ、すぐ行く」
そう言ってシルバーはポケギアの電源を切り、ワニノコと共に歩き出した。
(今度会ったら、問い詰めてやる…!必ずな!)
そう、シルバーは心に誓った。