2話
「おい…ーン!グリーン!」
「あ、あぁ…悪いなマサキ…どうした?」
「どうしたって…なんや、もう忘れたんか?試験をやるんちゃうんか?」
マサキとグリーンはトキワシティのジムリーダー試験会場に来ていた。
「ちょっと……な」
「ちょっと…なんや?まさか、リーフの事気になってるんちゃうんか?」
マサキが二ヤリとして腕を組んでグリーンに言った。
「馬鹿言え、あいつはちゃんと今も探してるさ。オーキド博士も今はこの地方に居ないし。居るのは俺だけだ。」
グリーンが目を瞑って言った。
「そういや、そうやな。ファイアは何処行ったか分からんし。レッドも居ないし何処へ行ったのやら」
マサキはやれやれと腕を上げて言った。マサキが思い出した顔をして、ポケットからあるものを取り出した。
「そやそや、忘れるところやった。はい、これ。オーキド博士が言うにはポケギアとか言うやつらしいで。記録されている名前をボタンで押すと、その名前の人に連絡が入って、会話できるらしいんや。いわゆる電話ってやつやな」
グリーンはマサキから受け取ると、中を確認した。
「リーフの名前…」
ぽつりとつぶやいた。
「試験が終わったら電話かけて見りゃええんちゃうか?」
「…後でな」
ポケギアをバッグに入れたと同時に、アナウンスが流れ出した。
「グリーンさん、グリーンさん、試験会場に来てください。試験を開始します」
「お、今からやな。頑張ってきいやー」
「あぁ。行ってくる」
マサキが言うと、グリーンは椅子から立って、ドアの前に立って言った。ドアを開けて、休憩室を後にした。
「………コガネに居る妹、元気にしてるかな」
天井を見つめて、そうマサキはつぶやいた。
〜2〜
「………」
夕日が彼女の影を映す。リーフは空を飛んで、オーキド博士がいる場所へやって来た。地面へ足に付いた瞬間、リザードンをボールに戻して部屋に入っていった。
「おぉ!リーフか!久しぶりじゃの!」
オーキド博士はドアの音に気付いて、振り向く。振り向くと、リーフの顔を確認していった。
「お久しぶりです博士!」
「あぁ、本当に久しぶりじゃの!リーフ。ポケモン図鑑は半年前にバージョンアップじゃろ?順調かの?」
「はい、順調です!」
笑顔になったリーフ。博士に久々にあえて嬉しい。オーキド博士は思い出したかのように、リーフに手渡した。
「おぉ、そうじゃ!これを君に渡したかったんじゃ」
「これは…?」
「それは、ポケギアと言って、登録されている名前を押すと、電話ができるんじゃ」
説明を聞いて、中身を確認する。
「あ……グリーンの名前」
ポケギアの中身を確認すると、グリーンの名前が記録されていた。ファイアの名前がない。なんで?博士に私は訪ねた。
「ファイア…の名前は?」
「………三人でチャンピオンになった後、ファイアは居たじゃろ?だが、ここ半年、連絡がつかんのじゃ。ファイアには、ポケギアをわたしとらんから、登録できんのじゃ。」
「……探せばいいんですね?半年前、彼らがしてくれた事を…今度は私が」
オーキド博士は少し考えた後、言った。
「………サカキなら知ってるかもしれんが…」
「………」
リーフは黙り込んだ。ドアがノックする音が聞こえた。おじさんが、「どうぞ」というと、ドアは開かれた。
「あ、リーフさん!先に来てたんですか?」
ヒビキが声をかけて来た。
「あ…うん」
突然の声にその言葉しか出なかった。
「この話は、また今度じゃ。一応、グリーンにも連絡したらどうじゃ?」
耳元で、オーキド博士が私に囁いた。私は頷いた。
「あの、ウツギ博士に言われてきました!」
「君たちか、よろしく、私はオーキドじゃ」
会話を聞きながら、私はグリーンにメールをした。私のポケギア、グリーンのポケギア、そして、ファイアのポケギア。三人のポケギアだけが、メールを送ることができる。ファイアのポケギアはバッグに入れた。
『久しぶり、グリーン。突然だけど、ファイアの事何か知らない?私の父親の事があって、ファイアを探したいけど…もしできるのなら、サカキが居るのなら、伝えてくれないかしら?返事、待ってる』
そのメールをグリーンに送信した。
「君たちにポケモン図鑑を渡そう!」
「え、いいんですか!?」
オーキド博士がヒビキ達に最新版のポケモン図鑑を渡していた。ポケギアを握っていると、チカチカと点滅していた。
「あ…ごめん。ちょっと外に居るね」
そう言って私は外へ出て行った。外へ出て、電話を取ると聞き覚えのある声が聞こえた。
「元気しとーや?ワイや、マサキ!グリーンが心配しとったでぇ」
「久しぶりね、マサキ。半年ぶりっていうわけじゃないけど。二か月ぶりだね。グリーンがねぇ、私は大丈夫よ」
「そうかそのことグリーンに伝えとくでぇ。あぁ、あとグリーン、トキワシティのジム試験合格したで!」
嬉しい事を聞かされ、私は言った。
「ほんと!?おめでとうって伝えといてくれないかな?あ、あとグリーンのポケギアに必要な事、メールに伝えといたから、それの事も伝えるの、お願い」
「分かったでぇ。まかしとき。そんじゃなー」
そう言ってマサキは電話を切った。
「………おめでとう、グリーン」
ポケギアをギュッと握ってそう私はつぶやいた。