マイト編 2話
人間と話せる…僕たちポケモンの言葉を分かる人間は数少ないかもしれない。でもやっぱり人間を信じる事なんでできないよ。僕は目を瞑り、女の子から離れて走って逃げていった。女の子は追いかけることもなく、ただ僕の後ろ姿を見ているだけだった。
「……逃げられちゃったか」
たき火の火を消して女の子は岩に持たれ掛かって眠りについた。一方、女の子と離れたヒトカゲは、ニビシティの右側にある三番道路へと足を踏み入れ、お月見山へとヒトカゲは走って行った。
「はぁ…はぁ…」
傷を治してくれた時は、僕はすごく嬉しかった。でも、でも僕は…戦うのが大嫌いだ。ポケモンバトルが好きなポケモン、戦うのが嫌いなポケモン。この世界には沢山のポケモンが人間と共存している世界。見ていると苦しくもなったり、楽しい気持ちになったりする時もある。共存して共栄もしている。争いがなかったとしても、なぜ人間は互いにポケモンバトルをして楽しんでいるんだろうか。それが僕にはわからなかった。楽しむと言う事を与えられなかった、僕には難しい問題だったんだ。
「俺が怖いか?」
レオの言葉が脳裏に過る。怖いんじゃないよ。恐怖も感じた。感じたけど、でもやっぱり傷つけられないよ。僕には…できない事なんだよ。レオを傷つけたことに後悔を感じた。傷つけて、震えて、怖くて走って逃げてしまった事に後悔した。雫がぽたぽたと地面へ落ちてゆく。僕の事を嫌いになったんだろうと思いながらも、泣いた。
「戦わせたり、しないから」
今度は出会った女の子の言葉が脳裏に過る。涙を流しながら、苦しみながらも、僕は思った。あの言葉はきっと、分かってて僕に言った言葉。信じたくない。けど何を信じて、何を信じちゃいけないのか、今は分からない。嘘だと信じてしまい、逃げてしまった僕は愚か者だ。でも、今思った。あのトレーナーなら、ついていけると。きっと、待ってくれているんだと、思った。僕はあのトレーナーが…
好きなのかな?
「えへへ…」
涙を流しながらも照れながらも、こぼれる涙を手でこすり、涙を拭いた。そして、朝日が僕を照らした。もう、朝なんだね…。僕は今いる場所から先ほど居た場所へ走って戻っていった。いた、あのトレーナーだ。女の子は寝ていた。僕は女の子の隣に置いてあるバッグのチャックを開けて、バッグの中身をあさりだした。あの赤い箱が気になって。見つけて、パカっと開くと僕の事が書かれていた。
(マイト…これって、僕の名前…なのかな?。名前がなかった僕に…初めて着けてくれた名前…)
何だろう、温かい気持ちになった。名前がなかった僕に与えてくれた嬉しさ何だろうか?下にスライドしようとした瞬間、声が聞こえた。
「その赤い箱はポケモン図鑑って言うんだよ。ずっと、気になってたんだね」
と、言われ、微笑んでいた。僕も思わず、笑顔を出した。女の子と僕は笑顔になっていた。女の子はこう言った。
「待ってたよ、帰ってくるの」
帰ってくるのをずっと待っていたという言葉に涙を流した。あの短い時間だったのに、僕はこのトレーナーを好きになってしまった。僕の事を思って、考えてくれていたと言う事に嬉しさもあり、恋も抱いていた。このトレーナーは優しかった。するとトレーナーは、言った。
「実は私、ポケモン持ってないの。旅に出る時に、友人に全部ポケモンを渡したの。それで、なんとなくだけど、何か感じてね。運命…っていうのかな?」
そういう…こと。だから、僕に優しくしてくれたのか。でも、最初っから分かってたような感じもした。それでも僕はこの女の子に恋を抱いていたと言う事に、変わりはなかった。女の子はボールを出して僕の隣に置いた。僕はポケモン図鑑を女の子に渡して僕はボールのスイッチを押した。突然、何が起こったか分からなかったけど、だけど僕はこのトレーナーの
相棒になりたいと、心から思った。ボールから出てくると、僕はご主人を見た。ご主人は名前を言った。
「私はアランっていうの、これからよろしくね!マイト!」
アラン、という名前のご主人だった。そして、マイトと言われた。やっぱり僕の名前だった。名前を呼んでもらえてすごく嬉しい気持ちになった。そして、ご主人はいろいろなことをしてくれた。戦う事が嫌いな僕に怖くてもしなくちゃいけないことを少しづつ、教えてくれて、克服させてくれた。そして僕は、悪と戦う事になる。