15話
目を覚ますと、白い天井が最初に目に飛び込んで来た。上半身を起こして、左に向くと、ファイアが寝ていた。左手を握られている。
「……ん?」
「気が付いたのか」
目を開けて、顔をあげるファイア。ドアの音が鳴り、入ってきたのはグリーン。三人は何も答えない。少しだけ、沈黙が続いた。すると、ファイアとグリーンが同時に口を開いて言った。
「「お帰り」」
彼女は嬉しくないような顔をしていた。聞かれるんじゃないかって。
「グリーン、怒っちゃ駄目だよ」
「分かってる。分かってるけど…」
グリーンも、洗いざらいぶちまけてしまいたいんだ。感情を。俺は俺に言っていた八つ当たりってやつだ。あのあと、小さい俺は居ない。あの時だけ俺が出てきた。
「何で……だろうね?」
白い布団を見つめながらリーフは掠れた声を出した。
「何で、私…」
言いたいことは分かった。多分。何で私だけさらったのか。もしくは、何で私だけポケモンと話せるのか。もう、あの頃になんて戻れない。それだけは分かる。俺も、グリーンも何も答えない。
「ご、ごめん…気分悪いよね?俺ら席はずすから!それじゃ!」
慌ててファイアは座っている椅子から立ち、グリーンの腕を掴んでドアノブを掴んで開けそのまま部屋を出ていった。ポカンとリーフは出ていった二人の顔を思い出して、ドアを眺めていた。