ポケットモンスターFR・LG〜三人の旅〜 - 第三章 君の言葉が悲しくて
2話
〜止まない雨〜

ぽつりぽつりと降り続く雨。一人、街の外に立つ女の子。彼女はリーフ。以前いた場所、シオンタウンに来ていた。胸を締め付けられる痛み。雨は、彼女を濡らす。

「ごめんね…」

彼女はそう、呟く。罪を犯した自分は、彼らに会う必要など、無いと思った。彼女の髪は、雨で濡れていた。服も、雨で濡れて、重く感じた。まるで、自分の罪がのし掛かるように。セレビィを殺めてしまった事、ロケット団に入って、彼らに見つかってしまった事。彼らに会って、どう思われるか。どうやっても、逃れられない。心が引きちぎりられそうな感じがする。瞳はブルーだが、冷たく、背筋が凍りそうな冷たい瞳だった。誰も信じてくれないだろう、自分の気持ちを。だが、その冷たい瞳は静かに雫が流れているのであった。そして、彼女は静かに歩み始めた。流しても流しても、ドロドロな赤色が流れる感じが、気分を悪くさせる。彼女はその気分を持ちながら、シオンタウンを離れ、シルフカンパニーがある街へと向かう。


〜止まない雨 2〜

「………私はこうなっちゃう、運命だったのかな?」

自分以外居ない道路を、自分に問いかけるような言い方で言う、自分がその場に居た。

「うんん…そうじゃないよ…きっと違う運命も、合ったはず………」

自分に言い聞かせるように言った。

「貴方も、ごめんね…野生に帰ってもいいんだよ」

そう言って、モンスターボールから出したのは、ゴースから一緒だったゲンガーに言った言葉だった。

「君が、悪い訳じゃないんだ」

突然、話し出したのはゲンガーだった。人間の言葉を話せる特別なポケモンだと、前に聞かされた事があることを、彼女は思い出した。

「君のせいじゃないんだ」

「………」

ゲンガーはそう、彼女に言った。リーフはなにも答えない。前みたいに、笑顔で話すことも無くなった。感情をあまり、表に出すことも無くなった。ファイアはあまり、表に出すことは苦手だったことは、微かに覚えている。冷たい雨はリーフとゲンガーを容赦なく、襲う。ゲンガーはそのまま、言った。

「君も、ボクも悪くない。サカキに逆らえないボクらは、道具としか、みられていない」

「……」

「だから、ボクらはただ、従うしか出来ない。従うしか事しか出来ないから、罪がのし掛かる」

「前向きに……なれって?馬鹿馬鹿しい……」

今まで黙って聞いていた、リーフが口を開いて言った。その代わり、ゲンガーが口を止めた。

「……」

「私も、君も悪くないのは……わかるけど、私はこの、呪縛から逃れたい……」

ゲンガーはうつむいた。「呪縛」。縛られる、それは、ボクも君も同じ。同じように逃げたいゲンガーはそう思った。リーフは続けて言った。

「君は逃げられるじゃない……?だって、私の親だから…逃げたいのなら、逃げればいい。君は逃げられる力を持ってるから」

ゲンガーはその言葉を聞いてハッとした。そして、ゲンガーは感情敵になり、叫んだ。

「ボクは君の親だから、逃げない!君を守るんだ!!」

彼の言葉を聞いた後、彼女の瞳は目を閉じた。そして、もう一度目を開いて彼を見つめた。冷たい瞳を彼に向けた。

「ボクが、君を守る。だからお願い、守らせて」

彼の瞳は鋭かった。だけど、強い気持ちを感じた。彼に私は手を差し出す。彼の手は冷たかった。少し微笑むと彼は、ポカンとしたような顔をしたあと、言った。

「今、笑った」

「笑ってない」

「笑ったよ」

そのやり取りをした。だけど、冷たい、止まない雨は永遠と降り続く。罪を洗い流せない彼女と彼。逃げられないのなら、抗うのみ。守る。絶対に。彼が持っていた丸い玉は雨に濡れ、キラリと光輝いた。まるで、彼女と彼を、彼らに会わせるように、導かれるように、進む。彼女と彼しか居ない、道路をまた歩いて、シルフカンパニーへ行く。

冷たい雨は降り続く。

永遠にー

アラン ( 2016/02/09(火) 17:10 )