2話
〜止まない雨〜
ぽつりぽつりと降り続く雨。一人、街の外に立つ女の子。彼女はリーフ。以前いた場所、シオンタウンに来ていた。胸を締め付けられる痛み。雨は、彼女を濡らす。
「ごめんね…」
彼女はそう、呟く。罪を犯した自分は、彼らに会う必要など、無いと思った。彼女の髪は、雨で濡れていた。服も、雨で濡れて、重く感じた。まるで、自分の罪がのし掛かるように。セレビィを殺めてしまった事、ロケット団に入って、彼らに見つかってしまった事。彼らに会って、どう思われるか。どうやっても、逃れられない。心が引きちぎりられそうな感じがする。瞳はブルーだが、冷たく、背筋が凍りそうな冷たい瞳だった。誰も信じてくれないだろう、自分の気持ちを。だが、その冷たい瞳は静かに雫が流れているのであった。そして、彼女は静かに歩み始めた。流しても流しても、ドロドロな赤色が流れる感じが、気分を悪くさせる。彼女はその気分を持ちながら、シオンタウンを離れ、シルフカンパニーがある街へと向かう。
〜止まない雨 2〜
「………私はこうなっちゃう、運命だったのかな?」
自分以外居ない道路を、自分に問いかけるような言い方で言う、自分がその場に居た。
「うんん…そうじゃないよ…きっと違う運命も、合ったはず………」
自分に言い聞かせるように言った。
「貴方も、ごめんね…野生に帰ってもいいんだよ」
そう言って、モンスターボールから出したのは、ゴースから一緒だったゲンガーに言った言葉だった。
「君が、悪い訳じゃないんだ」
突然、話し出したのはゲンガーだった。人間の言葉を話せる特別なポケモンだと、前に聞かされた事があることを、彼女は思い出した。
「君のせいじゃないんだ」
「………」
ゲンガーはそう、彼女に言った。リーフはなにも答えない。前みたいに、笑顔で話すことも無くなった。感情をあまり、表に出すことも無くなった。ファイアはあまり、表に出すことは苦手だったことは、微かに覚えている。冷たい雨はリーフとゲンガーを容赦なく、襲う。ゲンガーはそのまま、言った。
「君も、ボクも悪くない。サカキに逆らえないボクらは、道具としか、みられていない」
「……」
「だから、ボクらはただ、従うしか出来ない。従うしか事しか出来ないから、罪がのし掛かる」
「前向きに……なれって?馬鹿馬鹿しい……」
今まで黙って聞いていた、リーフが口を開いて言った。その代わり、ゲンガーが口を止めた。
「……」
「私も、君も悪くないのは……わかるけど、私はこの、呪縛から逃れたい……」
ゲンガーはうつむいた。「呪縛」。縛られる、それは、ボクも君も同じ。同じように逃げたいゲンガーはそう思った。リーフは続けて言った。
「君は逃げられるじゃない……?だって、私の親だから…逃げたいのなら、逃げればいい。君は逃げられる力を持ってるから」
ゲンガーはその言葉を聞いてハッとした。そして、ゲンガーは感情敵になり、叫んだ。
「ボクは君の親だから、逃げない!君を守るんだ!!」
彼の言葉を聞いた後、彼女の瞳は目を閉じた。そして、もう一度目を開いて彼を見つめた。冷たい瞳を彼に向けた。
「ボクが、君を守る。だからお願い、守らせて」
彼の瞳は鋭かった。だけど、強い気持ちを感じた。彼に私は手を差し出す。彼の手は冷たかった。少し微笑むと彼は、ポカンとしたような顔をしたあと、言った。
「今、笑った」
「笑ってない」
「笑ったよ」
そのやり取りをした。だけど、冷たい、止まない雨は永遠と降り続く。罪を洗い流せない彼女と彼。逃げられないのなら、抗うのみ。守る。絶対に。彼が持っていた丸い玉は雨に濡れ、キラリと光輝いた。まるで、彼女と彼を、彼らに会わせるように、導かれるように、進む。彼女と彼しか居ない、道路をまた歩いて、シルフカンパニーへ行く。
冷たい雨は降り続く。
永遠にー