4話
「それじゃ、俺はマサラに帰るわ。今、俺が知っているロケット団の情報は教えたからな」
「え…?もう帰るんですか?レッドさん……」
ファイアがレッドの背中を見たままそう言った。
「ああ。五年間、何も連絡せずにいた俺が悪いし。きっと、死んでるんじゃないか、疑惑が流れてるかも知れないからな。オーキド博士に怒られる覚悟で帰るわ。」
そう言うと、今度は真剣な顔でファイアとグリーンを見てこう言った。
「助けるからには、リーフを必ず助けてやれよ」
そう言ったあと、黒色のリザードンをモンスターボールからだして、マサラタウンへと、レッドは帰って行った。それからしばらくしてグリーンが口を開いた。
「なぁ、ファイア。レッドさんが持ってたあの黒のリザードン…」
「うん。色ちがいだったね。この頃の色ちがいは確率…いくつだったかな…まぁいいや。マサキって言ってたよな、レッドさん。速く助けにいかないと。カスミさんのポケモンも取り返さないと行けないし」
そうファイアが言うとグリーンはうなずいた。
「あ、そうだ……お月見山行くとき、逃げた感じにグリーンから離れたけど……あのときはごめん」
グリーンも、思い出したかのように眉をピクリと動かした。
「もう、起きちまった事を言うのは遅い。過去の事を引きずってたら前には進めない。だからもういいさ。気にすんな」
励ましの言葉なのだろうか。彼が許してくれるのであれば、それでいい。確かに、彼が言っている通り、過去の事を引きずっていたら、前には進めないし、リーフを助けることさえ出来はしない。だから……
だから俺は、過去の事を引きずらず、前に進む。光がある方へ走る。道を見失ったら、終わりだから。
〜2〜
「ふぅ……助かったわい。装置がおかしくってなぁ。ニドラン♂になってたわい。いやー助かった。ほんまに、あんさんふたり来なかったら、一生ニドラン♂になってたわ」
ここは、マサキの家。突然家に入ったらマサキさんは居らず、ニドラン♂がいた。だが、ニドラン♂がマサキさんだと知ったときは、驚きを隠せずにいた二人。だけど、マサキさんの話を聞いたあと、パソコンに書かれていることと、言われたことをしたら、マサキさんの姿は人間になり、元通りとなって、彼らも安心したのであった。
「あ、いえ…俺らは言われた通りやっただけで…」
グリーンは、苦笑いをしながらマサキさんに言った。
「まーまー。助かったのはほんまのことやし。そや!これ、君らに渡すわ」
「さんと…あんぬ号?」
渡されたチケットには「サントアンヌ号」と、書かれていた。チケットを渡したマサキは言った。
「そうや。サントアンヌ号。豪華客船らしいんやけど、わいは興味ないし。助けてもろたお礼や。あ、あとなんか水タイプのポケモンが、わいの家に二匹ぐらい置かれたんやけど」
そう言って持ってきたものを彼ら二人に見せた。
「これって…スターミーとトサキント!」
「見覚え有るみたいやな。わいがニドラン♂になってる時に、勝手に入ってきてな。置いてかれはったんやわ。服のところに大きな「R」って書かれてたんやけど。なんか胸騒ぎがするわ。君らも気いつけはるんやで?」
二人は頷くと、スターミーとトサキントを渡してもらい、カスミさんの所へ戻り、ポケモンを手渡した。これでやっと、ジム戦が出来る。二人は一度、ポケモンセンターへ戻り、ジム戦の準備をしたあと、カスミさんが居る、ハナダジムへ行くのであった。