3話
小さいころ…何者かに突然さらわれた記憶はあった。けど、何でさらわれたのか思い出せない。理由があって連れ去ったのか、ただ単に連れ去っただけか…。それがわからずにいた。サカキの笑みはこぼれるばかりで、私は無言で見つめることしかできなかった。
「はぁはぁ…カスミさんにあんなこと言って逃げてきたような感じで来ちゃったけど…」
息を切らしながらファイアは橋を渡る。
「おい!お前!まさかファイアじゃねーか!?」
「あ?って…お前は…ロケット団!?」
声を振り向く方へ顔を上げるとロケット団の恰好をした相手がいた。
「おうよ!俺様ロケット団員。ロケット団にはいんねーか?ファイアくんよぉ。今なら
リーフってやつの場所、教えるぜ?」
「なんだと?本当か?嘘じゃないだろうな?嘘をついてみろ、ぶっとばすからな」
ファイアは目付きを鋭くして相手に言った。
「おーおーファイア君怖いねぇ〜。嘘じゃないんだよな、これが。俺スパイとして潜入してるだけだ。リーフの情報やらなんやら集めてただけなんだよなぁ」
帽子をかぶっているため、誰かわからなかったが、今、ぴんときた。あぁ、あの時探しに行くと言ったきり帰ってこなかった人だったと。
「お?思い出した?」
「思い出した。お前、オーキドのじいさんに心配かけるなよ。五年前!そのまま言って帰ってこなかったろ!」
ファイアはそう、相手に言った。自分はよく覚えてる。
「ごめんごめんって。いろいろやることあって忘れてたんだよ。許してくれって」
そういって、彼は言っているが、本当だったのは確かだ。彼も同じマサラタウン出身、レッド。リーフが居なくなったあと、旅を出て、探していたらしい。情報を着かんで、ずっとリーフを見守って居たらしい。やはり、スパイとしてロケット団員に成り済ましていた。俺はレッドとあまり話したことがない。けどリーフが居なくなってから探していたことには、とても嬉しかった。ありがとう、レッドさん。話をしていると、彼とも合流した。