1話
リーフがいなくなってから、五年の月日が流れた。10歳になったファイアとグリーンはオーキド研究所に呼び出されていた。
「机の上にポケモン図鑑とモンスターボールがそれぞれ3つずつあるじゃろ?好きなポケモンを選んで、図鑑を取るんじゃ」
ファイアとグリーンはそれぞれのポケモンを選んだ。ファイアはゼニガメをグリーンはフシギダネを。そして、二人はポケモン図鑑を手に取った。残った、モンスターボールとポケモン図鑑を、オーキド博士が手に取り、こういった。
「ファイア、これをリーフに渡してあげるんじゃ」
「わかった」
オーキド博士から渡されたポケモン図鑑とモンスターボール。ファイアは、ボールの中に入っているヒトカゲを見た後、オーキド博士を見つめた。
「ありがとう、オーキド博士。行ってくる」
「必ず、見つけてくるよ、リーフを」
グリーンが続いて、博士に言う。二人は、ズボンのポケットにポケモン図鑑を入れて、研究所から外へ出た。
〜2〜
マサラを出た後、一番道路を歩き出し、トキワシティへつくと、グリーンは言った。
「俺、先に行ってるわ。二ビシティに行って、ジムリーダーに一応リーフのこと言っとくわ」
「あぁ…ありがとう」
そういって、グリーンはトキワの森へと走って行った。
「………あいつもやっぱりリーフのこと気にしてんだな…まぁ、元とは言えば俺らのせいで、リーフがいなくなったもんだし…」
ファイアはモンスターボールの開閉スイッチを押し、ゼニガメを出した後、ただじっと、地面を見つめゼニガメを抱き上げた。ゼニガメは首をかしげて、「ゼニ?」といった。ファイアは小さく、つぶやいた。
「ごめんな…」
「ゼニニ…」
ゼニガメは悲しそうな瞳をファイアに向けるのであった。
〜3〜
目を閉じれば、二人の姿が見える。目を開ければ、二人の姿はいない。空を見上げ、彼女はつぶやく。
「ファイア…グリーン…」
隣にいるのは、イーブイ。イーブイは首をかしげていた。彼女はイーブイを抱いて、言った。
「ファイアとグリーンっていう子はね、私と一緒に遊んでいた子なのよ」
「ブイ〜」
イーブイの顔は、悲しみの顔になっていて、声もかすれているような気がした。
〜4〜
オーキド博士はファイアの母親と、グリーンの姉、ナナミは、オーキド研究所で、話をしていた。
「ファイアも、グリーンも責任を感じていたんだじゃろうな…五年前のことがあったからの…」
「リーフちゃんの顔も見たいから、あの子たちが、助けに行く…」
皆も、暗い顔をして、話をしていた。親もわかる。ファイアとグリーンの気持ちが。さみしい、つらい、悲しい、責任という重さを…。