ポケットモンスターFR・LG〜三人の旅〜 - 第一章 悲しい気持ち、優しい言葉
6話
思いなんて変わらない。あの時から。ずっと探していた。君を求めてた。会えるのであれば、君に会いたい。あって思い出をもう一度作りたい。もし、君が敵であれば君はどうするんだろう?俺たちもそんな複雑な気持ちで旅をしている。

「お兄ちゃん…どうしたの?そんな暗い顔して…顔色悪いよ?」

彼女、ユーリカは二ビシティで出会った。兄の、シトロンを探しているらしい。俺たちよりも、年下の少女がいちゃ危ない。だから、俺たちも手伝う。グリーンはいつも通りだが、俺はそんな顔してられない。俺は、本当は会いたいのか?彼女に。ロケット団…か。彼女がもし、ロケット団に入っているのであれば、俺は…俺は…どう受け止めればいい?彼女が帰ってきたとしても…どう接すればいいかわからない。性格なんて人もポケモンも成長すれば変わってしまう場合もある。だけど、俺は帰ってきたリーフに、何もしてあげられることは…ないんだろうか?

「おい、ファイア!」

彼は彼の名前を言った。けどファイアは聞こえていない。

「っ…!テメェも俺も同じ気持ちなんだよ!一人で勝手に悩んでんじゃねぇ!」

彼はファイアの考えを知っている。もちろん、自分も同じ考えで、何をすればいいかわからない。でも、会うためには強くならなくちゃいけない。グリーンはファイアの胸元をぐいっと上げて、そういった。

「…………悪かったな…」

ファイアはグリーンの顔を見ず、横に顔をそらして言った。ファイアはグリーンに誤り、グリーンはファイアを地面に下した。めったに怒らない彼が言ったのは、お月見山へ行く途中での出来事だった。

「ごめん、先に行く…」

そう言ってファイアはグリーンから離れる。グリーンは隣にユリーカがいるにもかかわらず、つぶやいた。

「また…離れ離れになっちまうのか……?」

「お兄ちゃん?」

ユリーカも悲しい気持ちになる。楽しい旅だったはずなのに。みんな複雑な気持ちに押し潰されそうな気がする。殺伐とした空気が流れる。重苦しい雰囲気だ。皆、つらくてどう接すればいいのかわからない。暗い闇の中に三人。皆思う。あの時のように、ならないかって。あの時が一番楽しかったんじゃないかって、思ってしまう。皆わからないんだ、どうやって仲良くなるのかって。どうしたら、どうやったら、もう一度あの時のようになれるのかって。自分が何を、何のために旅をしてきたのかなんてもう、わからない。俺たち三人は、暗い闇の中で一人だ。隣に誰もいない。ただずっと一人だ。

「お兄ちゃん!」

優しい声がした。横を振り向くと、そこにはユリーカとデデンネとプ二ちゃんが立って俺を呼んでいた。俺はユリーカが隣にいた。いや、ポケモンもいる。二人も、ポケモンがいる。俺は旅をした理由は、リーフを探すため。道を見失ってしまった…けど、けど俺は探したい。あきらめたくない。俺は、現実に戻って隣にいるユリーカの顔を見た。そして俺は言った。

「ありがとう、ユリーカ」

そう、俺はユリーカに感謝した。

■筆者メッセージ
ユリーカがいて…よかったな…グリーン…。今年の、更新は終わりです!
アラン ( 2015/12/31(木) 15:46 )