4話
少女が見ているのは大きなビルだった。何かを作っている会社だということはよくわかった。正体を隠しながら、そのビルを通り過ぎ、一緒に居るゲンガーと共に、ゲートを通る。
「君、ちょっと止まりなさい」
警察管に止められる。が
「………ゲンガー催眠術」
少女は、隣にいた、ゲンガーに指示を出した。警察官を眠らせ、こういった。
「ゆっくり…おやすみになってね?」
そういい残し、少女はゲートを抜けて、ポケモンの霊が眠るという、シオンタウンの街へ歩く。空は晴れていたが、だんだんと黒い雲がシオンタウンを覆っていく。次第には大雨をも降り、雷もなる。暗い闇に潜む少女と薄い影がシオンタウンへと歩いていく。シオンタウンの人やゲートを通った後の人は誰もいない。皆いなくなった。彼女はウインクさせて、言った。
「ごめんね?これが仕事なの」
少女が歩くたびに人が消えていく。人もポケモンも。彼女の口には笑みがこぼれていた。シオンタウンのポケモンタワーから出てくると、
「ビィ」
という鳴き声を聞き、鳴き声が聞こえた方へ歩く。
「そこにいるのは、セレビィじゃない、偶然ね」
そういうと、少女はセレビィの首を掴んだ。
「ほらっ!あんたの噂は知ってんだから!未来いけるんでしょ!?連れてってよ!ねぇねぇねぇ!!」
彼女の言葉通り、時渡りポケモンセレビィ。幻のポケモンであり、めったにお目にかかれないポケモンである。彼女の息は荒くなり、次第に、セレビィの首をギュッと絞めている。
「ビ、ビィィイイイ!」
セレビィは苦しい声を上げる。姿はロケット団がしているような光景。けど、恰好は普通の女の子。彼女に何があったのか、何が彼女を変えたのか。
「こ、こら!やめなさい!」
顔を上げるとそこには自分と同じぐらいの年齢をした少年が立っていた。
「苦しそうじゃないですか!話してあげてくださいよ!あっ…こら!逃げないでくださいよ!」
少年が追いかけてくる。なんで、追いかけてくるのかが、わからない。頭の中が真っ白で何を考えていいのか分からない。息を切らして、岩陰に隠れているとゲンガーをモンスターボールから出した。そして、こう指示した。
「あの少年が出てきたら、催眠術で眠らせるのよ」
ゲンガーはうなずいた。子供のころからずっと一緒に居たゴース。戦いを重ねて、進化した。
「ほら、セレビィいい加減に………」
彼女の言葉が途中で切れた。掴んでいた彼女の手からセレビィが落ちる。彼女の瞳から大粒の涙が地面へ零れ落ちた。
「な…んで…なんでぇ……」
体全体を震わせて、涙を流す。
「こ……んな…はずじゃ……なかったのに…」
「よくやったよ、リーフ君」
聞き覚えのある声が聞こえた。
「ん?どうしたんだい?そんな大粒の涙を流して」
顔を上げると、そこにいたのは自分を育ててくれた人だった。
「わ、私……わた…し」
「うんうん…君はよくやったよ」
抱きつかれて、涙を流しながら、薙ぎ払った。
「ほぉ…私にはむかうのかね?」
彼は、彼女のゲンガーを使い、催眠術をかける。彼女にとっては、地獄の始まりだった。