2話
「こんなこと…してると、怒られるなグリーンに。さ、行こうゼニガメ」
「ゼニっ!」
そう言って、ファイアはゼニガメと共にトキワシティから北にあるトキワの森方面へ歩いていくのだった。ファイアが歩いていく方面を木の影に隠れ、見つめている者がいた。隠れていた者はさっと姿を消したのだった。被っている帽子を取り、別の場所でつぶやいた。
「夢だったら……いいのに…」
一粒の雫を流し、また帽子をかぶり、歩いて行った。
〜2〜
「フシギダネ!ソーラービームだ!!」
グリーンはジム戦をしていた。相手はタケシさんだ、手は抜けられない。リーフのためにも、ファイアのためにも、そして俺自身のためにも負けられない。
「くっ、イワーク、避けろ!」
イワークは、フシギダネのソーラービームを避けたあと、フシギダネに突っ込んで行った。
「フシギダネ!葉っぱカッターだ!」
「ダネっ!」
葉っぱカッターを、直に受けたイワークは苦しそうに叫ぶ。
「イワーク!いわなだれだ!それで仕留めろ!」
そう、ジムリーダのタケシは、イワークに言った。
「ぐっ!」
砂煙が舞いフシギダネと、イワークが見えない。グリーンは呻き声を上げる。
「フシギダネ!…………さすがジムリーダのだけあんじゃんか。けど、俺は勝つ!勝たなきゃいけないんだ、絶対に!」
タケシさんに俺はそう言いながら先頭不能になった、フシギダネをモンスターボールに戻す。そして、もうひとつボールに入っているポケモンを叫ぶ。
「いけ!ピジョン!」
ポッポの進化した姿、ピジョン。元々小さい頃に持っていたポッポが進化したポケモンだった。確かファイアが持ってたポケモンって、何かの卵だったはずだけど、孵っているのか俺は知らない。そう思いながらも、グリーンはピジョンに指示を出した。
「ピジョン!燕返しだ!」
「なんだと!?」
タケシは驚いた声を発していた。イワークに指示を出せず、そのままイワークは地面に倒れる。その姿を見ていた、ファイアはグリーンが勝つのを見るとポケモンセンターへ歩いて行った。ファイアは、ポケモンセンターへ着くと、ポケモンを回復させたら、ポケモンを何びきかボールから出した。
「マグマラシ…ピジョンの活躍、見たか?」
ボールの中に入っているのはカントーじゃ珍しい、ヒノアラシの進化けい。カントーの隣の地方、ジョウト地方で最初にもらえる一匹のポケモン。誰に卵を貰ったか、あんまり記憶にないファイアはただただ、マグマラシを見つめるだけ。マグマラシは、頷いた。
「そうか…」
そう言うとフッと笑い、ボールをポケモンセンターの机に置いて、ゼニガメと、リーフのリザード、そしてトキワの森で捕まえた、と言うより、悪質な奴らに捕まろうとしていたから助けたらなついて、着いてきて貰ったピカチュウ。彼は、リーフの事をポケモン達に話したのだった。
〜3〜
「はい、技マシンだ。その技マシンは使い捨てだから、使うともう使えなくなるから、気を付けるんだよ?」
「はい、ありがとうございます。あぁ、そうだ、タケシさんに聞きたい事が有るんです」
グリーンが技マシンを受けとると、戦いの時とは別に悲しげな表情をして、タケシさんに話を聞いた。
「なるほど…リーフっていう女の子が行方不明…ね。もしかしたら最近噂になっている『ロケット団』かもね。まぁ、まだわからないけど。他のジムリーダー達にも伝えておくよ。何かわかったら、ジムリーダ達に連絡しておくから心配しないで」
優しく、タケシはグリーンに言うと笑って見せた。
「ありがとうございます!タケシさん!それじゃあ、俺ポケモンセンターへ行くよ。フシギダネだ可愛そうだ」
「あぁ、ポケモンセンターを出て東に行くとお月見山があるから行ってみるといいよ」
そうタケシはいい彼の後ろ姿を静かに見ているのだった。