5話
何か、方法があるはず…気づかれずに、私を消す方法を。この場から居なくなる方法を。考えなきゃ…考えれば、答えが見つかるはず。ブラッキーが私を見て、軽く頷いた。私も軽く、うなずいた。
「ブラッキー怪しい光!」
サカキが出していた、ダグトリオに向かってブラッキーは技を出した。
これも、作戦。夜になって行き、真っ暗になった。今がチャンス。私は走って、崖へ落ちていった。ブラッキーには指示をしてある。逃げろと。私は泳いだ。泳いでファイアを追った。
「ハァハァ…っ」
陸に上がって、息を切らす。
「ブラッキー…ちゃんと、逃げてるかしら…」
小さい家があり、そこに行くため、砂浜を歩く。服や帽子が水で濡れている。かなり、体力を消耗していることは分かっている。
「うっ……」
家に着くまでに足がふら付いてそのまま倒れこんでしまった。意識が薄くなって行く。頭がボーっとする。誰かが歩いてくる。誰…?
〜2〜
「おい、お前ら!捕まりたくなければ逃げるぞ!」
ブラッキーがニドクインとピカチュウに言う。
「あ、あぁ…」
「は、はい!」
三匹はリーフに言われた通りに逃げる。ブラッキーも、読心術を持っているため、リーフが言った言葉を聞いて、作戦を続行した。
「何でリーフはファイアを落としたのですか!?」
ニドクインが走りながらブラッキーに言った。
「作戦には入ってなくてな、とっさの判断だったからだよ」
「作戦ってなんだよ!」
ピカチュウが叫び。
「まぁ、少し黙ってろ。後で説明する。それより今は走れ!」
追いつかれたら何されるか、分かんねぇ!今は考えるより走って逃げることがいいんだよ!!リーフの奴…ちゃんと逃げきれてっかな…彼女の事も心配だが、今はこいつらを連れて逃げねぇと。
「ハァハァ…何とか…クチバシティに付いた…」
ブラッキーが息を切らして、言った。
「………?なんだ…」
何かを感じ取ったピカチュウがつぶやいた。そのことに気づいたニドクインがピカチュウに尋ねた。
「どうしたんですか…?ピカチュウ?」
「ん?あぁ…いや、何でもねぇよ」
匂い…?でも、なんだこの匂い…どこからこんな匂いが……。
ピカチュウはにおいをたどって振り向いた先にあったのは、クチバジムだった。火薬…?爆発でも…したのか?
「お、おいピカチュウどこ行くんだよ!」
ブラッキーがピカチュウを追いかける。
「………やっぱり、火薬のにおいだ…」
「火薬…?」
火薬の言葉に、ブラッキーが尋ねた。
「あぁ、火薬のにおいが、このクチバジムからするんだ」
「………」
その言葉を聞いて、ジムのドアをぶちあけたブラッキー。
「っ…!」
「だ、大丈夫ですか!?ブラッキーさん!」
ニドクインが近寄った。ピカチュウがジムに入っていく。誰も火薬を使っている者はいない。焦げ臭いにおいだけが、ジム内に漂っていただけだった。
「……?」
耳を澄ませて、ピカチュウが集中した。ピッピッピ…という音が聞こえた。ピーという長い音も聞こえた。すると、次の瞬間。ジムないが爆発した。その場所にいた三匹は吹き飛ばされる。
「うっ…うわぁああああ!!!」
「ぐっ…!がぁああ!」
「うぅ…!」
三匹は爆風で飛ばされながら、叫んだ。
「うっ!く…」
ブラッキーは頭部をぶつけて、気絶した。クチバシティにいたポケモンや人が叫んでいる声が響いたような気がした。