名探偵キュウコン スノークライシス 後編 〜二つの事件と演劇部〜
「全く、いつになったらニドクインは来るのよ!!」
「まぁまぁ、確かに遅いことは確かだけど、そんなに怒らなくても…」
コンコンというノック音が部屋に響いた。
「はい、入って!」
怒った口調で鏡を見ながら言った。
「失礼します」
二人で会話していたポケモンは、ペルシアンとカラカラだった。
「貴方たち誰よ」
ペルシアンが言った。
「俺達は、ニドクインさんに言われてきました。今日、体調が悪くて、代わりに行ってくれって言われました」
(さすが、フォローが上手いわね。亡くなった、なんていえば、劇は中止になるから。犯人は劇をしている奴らの中に居る。演技をして考えないと)
キュウコンは考えてからニコニコして、言った。
「よろしくお願いします!」
「まぁいいわ。はい、よろしくね?えっと、ブラッキーさんは舞台裏をお願いできるかしら。人が足りなくてね」
ペルシアンが言った。
「分かりました!」
ブラッキーは微笑んでから、返事をした。
「えっと、ピカチュウさんとキュウコンさんは舞台に立ってくれます?ウインディさんは舞台の証明をお願いします」
「「「分かりました」」」
三匹は同時に返事をした。
「あともう二人役が必要なんですけど、この二人にやってもらうわね?入って来て!」
ペルシアンが言うと二匹はやって来た。
(……バクフーンとピジョット…久しぶりね。まさかここで再開するなんて)
想いを心の中で言ったキュウコンは微笑んだ。
「「よろしくお願いします」」
二匹は入って来て挨拶をした。
演劇部の人たちと少し話した後、少しだけ時間があり、バクフーンたちと同じ楽屋へ行った。
「バクフーン、ピジョット、久しぶりね」
「あぁ、久しぶりだな。皆いるってことは、調べに来たのか」
「えぇそうよ。台本、もらってるから確認しないとね。」
バクフーンと会話した後、舞台裏へ行った。本番が始まる。
『皆、警戒しながら舞台、証明してくれよ…』
「「「「「了解」」」」」」
バクフーンたちにも渡しておいたアイテム。皆の声が一斉に聞こえる。さぁ、舞台の始まりだ。
〜2〜
ポケモンだけの舞台が始まった。いろいろなポケモンが舞台を見つめて、今か今かと待っている。
「おい、テメェ俺らの秘密ばらしたろ?言わないって約束だったよなぁ?」
カラカラがナイフを持ちつつへらへらと近づいてくる。
「教えてないって言ってるだろ!?」
バクフーンが一歩一歩下がってカラカラに言う。
「嘘つくなよ…なぁ?」
(こいつ……!!)
バクフーンは息をのんだ。
「よせ、カラカラ!」
ピカチュウが出てきて、カラカラを止めた。
「あぁ!?邪魔すんじゃねぇ!」
バクフーンから、ピカチュウに視線を変えて、ピカチュウに近づく。顔には出さなかったが、ピカチュウは気づいた。
(この匂い……血の匂いか…?濡れ衣を着せられてる場合もあるが…)
「こいつを無くすのは惜しい存在だろ。そして、あいつの目を見ろ。本当に話してない」
ピカチュウが言うと、カラカラは舌打ちしてナイフを隠した。その確認を六匹は見逃さなかった。
そして、証明を暗くした。皆準備を別の取り掛かる。そして、演技も終盤に差し掛かる。次々とポケモンが倒れてく。数が減っていくのに、違和感を感じる六匹。舞台裏で待機をしていたブラッキーが驚いた顔をした。
(俺…が、ころした…まさか、あのナイフ…本物か!?)
「おい!犯人はカラカラとペルシアンだ!」
ブラッキーは小声で五匹に伝えた。
「………」
バクフーンは黙ったまま聞いていた。同機はなんだ。なぜ、大勢のポケモンを本当に殺害した。連続殺人事件。そう、演技と舞台を利用した、事件だ。最後は俺達が止めてやる。この悪夢の連鎖を!
「最後はテメェだ、バクフーン。真実を知ったからには生かしておけねぇ…くっはははは!あっははははは!」
カラカラが、ナイフを持ってバクフーンを刺そうとした。が、バン!という音が響く。皆その音に気付いて撃たれたポケモンの方へ目線を向けて見る。
「…………」
ピカチュウは美しい毛並みから赤い血が流れていくのを見てドサリと倒れた。
「ピカチュウ!!」
ブラッキーが舞台裏から出てきてピカチュウを抱きしめる。
「全員その場から動くな!!客も動くな!」
ウインディが叫んだ。
〜3〜
「動くんじゃねぇよ。俺らの大事な仲間を気づ付けやがって。テメェだけはぜってぇに許さねぇ!!」
「アンタ何者よ」
「テメェに名乗る必要はねぇ。そうだろ?スナイパー殺人犯」
「あら?私が射撃を得意とするのはいつ知ったのかしら?」
ピジョットが証明とは別の場所でペルシアンを発見して、言った。
「いつだっていいだろうが!テメェは仲間を傷つけ、殺した。カラカラと共にな!!」
「えぇ、そうよそれがどうしたっていうのよ」
開き直りの言葉をペルシアンはいった。怒りが収まらないピジョットだが、言った。
「なぜ、女性ばかりを狙った」
「にくいのよ。女がね。だからあのカラカラを殺した後、自分も死ぬのよ」
「あきれた理由で人を殺そうとするんじゃねぇ!!!」
あまりの叫びに息を切らして、ピジョットは言った。
〜4〜
「おい、ピカチュウ…しっかりしろ!」
「ハァハァ……かすり傷だっての…そんなに心配すんな…うっ…」
「ピカチュウ!」
ブラッキーはピカチュウの撃たれた腕をハンカチで抑える。
「……手当してやるから待ってろ」
「あぁ……すまないな…」
ピカチュウは横になり、腕の手当をブラッキーにしてもらう。その隣で、キュウコンとバクフーンがカラカラに同時に言った。
「「どうして本物のナイフを使った」」
「うぜぇんだよ」
カラカラが言った。ウインディは客を見つめている。客もシンと静まり返っていて、話を聞いている。まるで、探偵みたいだと言わんばかりに。
「……女性が嫌いだ。私は…男に成りすまして、演劇部にはいった。女を殺して、私も死ぬ。演劇部の女だけを殺してなぁ!」
キュウコンは怒った。
「ざけんな」
「……」
バクフーンはキュウコンの横顔を見ていた。
「ざけんなよ…私たちの仲間を殺して!人を殺して!そんなに気持ち良いのか!!」
「やめろ、キュウコン」
バクフーンが止めにかかる。だがキュウコンの怒りが収まらない。バクフーンは今知った、女性を怒らせるとすごい怖いってことを。バクフーンは、腕をキュウコンの手前に出して止めた。
「そんなに死にたいのなら、死なせてやるよ。たっぷり地獄を味わってからな」
バクフーンは、カラカラに言った。ウインディがいたため、手錠をかけて、カラカラを刑務所へ連れて行った。あとは、ペルシアンだけだ。きっと今、ピジョットが怒ってるはずだ。ブラッキーとピカチュウはポケモンセンターへ行った。ピカチュウはわざと♀のハートマークのしっぽを使い、忍び込んでいた。演劇部へ行く前に、しっぽを変えていた。だから狙われたという事だ。演技も推理も俺にはできる。だから、キュウコンを守った。アイツにはやらなくちゃいけないからな。俺はポケモンセンターへ行き、かすり傷だと言われたが、癒しの鈴をしてもらい、傷あとがなくなった。あとはアイツらの帰りを待つだけだ。
〜5〜
客はまだその場にいる。犯人がもう一人いるからだ。いつ撃たれるか分からないから、騒ぎを起こせば、死人がでる。もう、これ以上増やしたくないから、この場にとどまるよう、ウインディが言った。そして、ウインディ達はピジョットの元へ行く。射撃用の銃はピジョットが蹴り飛ばした。そう、スキを突いた一瞬を。ピジョットはペルシアンを取り押さえ、言った。
「テメェの命は終わらねぇが、じわじわと味合わせてやるよ」
ウインディ達がたどり着き、ペルシアンを逮捕。連続殺人事件を起こしたのはカラカラとペルシアン。殺害したのはくだらない理由だった。6人のも命が奪われたこの殺人事件。決して忘れはしない事件だと、私は思った。私たち三匹はポケモンセンターへもどった。ウインディは、警察へ行き、表彰されたらしい。ブラッキーからピカチュウの事を聞いて、ほっとした私たちは、落ち着いてそれぞれまた、旅をすることにした。
この事件は、白い雪から赤い雪へ変える危ない事件だった。犯人が捕まり、ヤマブキシティのポケモンは亡くなったポケモンの思いをもって、墓を作った。忘れようとしても、忘れないためにも。
ヤマブキシティは今日も雪が降っている。ゲートを通り、私はタマムシティ方面へ歩き出した。
END