名探偵キュウコン スノークライシス 前編 〜二つの事件と演劇部〜
雪が降るヤマブキシティ。積もる雪は、家などの屋根を白くさせた。とある家で暖炉に近づいて体を温めているポケモンが口を開いていった。
「外が気になるのか?」
しばらく沈黙をした後、彼女はつぶやくように答えた。
「………えぇ」
窓に映る彼女の顔は、目を細めて外を眺めていた。その姿を彼は見つめていた。彼女は何かを感じるなり、窓からそっと離れた。その違和感に、彼は暖炉から離れ、彼女の手を握る。
「な、何よ…」
「いいから来い」
その言葉に彼は、外に出れるドアを開けようとする。が、手を止めた。
「キュウコン…お前はどうする」
真剣なまなざしで、訪ねてきた。だけど、私は口を閉ざしたまま、答えなかった。
「………」
「まぁいい。死にたくなければ、俺についてこい」
ピカチュウの彼はそういって、ドアを開けてキュウコンを連れてヤマブキシティを走った。ポケモンセンターまで走ると、ヤマブキシティ全体に音が鳴り響いた。
パーン!!
「今の銃声っ…!!」
キュウコンが音に反応して、走る足を止めた。
「………」
ピカチュウは無言で彼女を見つめた。
〜2〜
「ふっ……あんただけは、いかしておきたかったんだんだがな。残念だ。盗み聞きされちゃ、何されるか分からなかったからな」
銃を持った一匹のポケモンが、撃たれたポケモンのそばへ近寄る。白から赤へ変わる雪。白から赤へ染まる雪。少しだけ、悲しい笑みをして彼はその場から姿を消した。
「ハァハァ………」
左胸から血を流す彼女は、息を切らしながら小さく呟いた。
「ピカ…チュウ…ごめん…ね…」
ピカチュウという名前を言い、彼女は息絶えたのだった。