名探偵バクフーン 三つ目の事件〜二つの事件と五匹の人物〜 後編
「ま、まさか…コリンク」
「………」
ピジョットがうつむいている。バクフーンとキュウコンは黙ったまま。その場から動かなかった。もう、居ない可能性が高い。それは、犯人に見つかって殺されているかもしれない。証拠を見つけないといけない。バクフーンは椅子から立ちあがって、部屋を出た。キュウコンも続いて部屋を出た。残ったのはピジョットだけ。二匹は証拠と証言を探すため、サントアンヌ号の部屋で聞き込みをしたり、船のポケモンに聞いたりした。ある程度聞き込みをすると、バクフーンが部屋へ戻って来た。数分後にキュウコンも。
「船にいるポケモンから聞いたんだが、三匹ぐらいのポケモンが、かご車をもって、サントアンヌ号を出たみたいだ。それと、かご車には大きな段ボール箱と小さい段ボール箱が三つ。俺が気になるのは、大きな方だ」
バクフーンがサントアンヌ号の地図を取り出して指を指しながら言っている。キュウコンも、つけたしで言った。
「そうね。私も大きな方が気になるわ。それともう一つ、気になるのはストッパー棒よ。たぶん、凶器はストッパー棒だろうけど、もう犯人がいないとすれば、凶器は見つからないし、遺体だって見つからない。そこで、ピジョット、貴方の出番よ」
「え………」
ピジョットは氷が入っているグラスを見ていると突然言われて変な声を出した。キュウコンがもう一度言った。
「これは、貴方にしかできない事なの」
「お前にしか、絶対にできないこと事だ。もう船は動いちまってるし、俺らは動けない。つまり、空を飛べるのはお前だけで、もうわかるよな?」
バクフーンが微笑んで言うとピジョットは言った。
「なるほど…ね。空を飛んで犯人を見つけ、捕まえろって事か」
「ご名答。俺達は2時間ほど動けない。ウインディに連絡しておくから、行ってくれ」
バクフーンがピジョットが言ったあと答えた。ピジョットはうなずいて窓から外へ出て大きく羽ばたいた。
「………必ず犯人を見つけてやる!」
〜2〜
「俺達は、地下室へ行こう。犯人はそこにいる」
キュウコンはうなずき、部屋を出て、廊下を走りだした。
「………開けるぞ」
地下に行き、ドアの前でバクフーンが言うとキュウコンはうなずいた。ドアを開けるとそこに居たのは、ゼニガメだった。捕まえたはずなのに、なぜ居るのか謎だった。なるほど、バクフーンは言うとゼニガメは笑った。
「今君が考えてる事さぁ!!」
「……あのサプリメントもそうだが…身代わりを使い、その身代わりに仕込んだボイスレコーダーを使うとは。犯人がしそうな事だ」
バクフーンはあきれながら言った。
「ご名答。さすが、名探偵だ!」
「さて、証拠を突き付けてやるぞ、キュウコン」
「えぇ」
〜3〜
「あれかっ!」
ピジョットは空を飛んで確認した。あれは、ポケモンのトラック。今俺が居るのはトキワシティ。クチバシティから距離は離れている。あのトラックに入っているのはおそらくかご車…急がないと。
「燕返しっ!」
ピジョットは急降下しながら、トラックの荷物を運んだりする場所を攻撃した。ガッシャーンッ!と大きな音を立てて、かご車は横たわった。かご車に置かれている小さな段ボール箱一つは血痕が付いたストッパー棒があった。しかも、何個も。大きな段ボール箱は見るも無残な姿になった妹のコリンクと、ボイスレコーダーが握られていた。
「ケケッ!?き、貴様…よくも!」
自殺したと思われたゲンガーが運転席から出て来た。そして、もう一匹出て来たのは、コリンクだった。
「お前……っ!」
ぎりっと歯を鳴らしてピジョットは怒った。
「ピジョット!」
聞き覚えのある声が聞こえた。ウインディだ。ウインディは応援を呼んでおり、周りには警官がたくさんいた。
〜4〜
「………証拠ねぇ…この、サントアンヌ号に居る奴ら全員が俺らの仲間だ。どうするよ、名探偵」
「そこまでよ!」
この声は、エーフィの声だ。
「ウインディからさっき連絡があったわ。貴方の仲間、ゲンガーとコリンクは捕まったそうよ。そして、この船に乗っている仲間も全員取り押さえたわ。あとは貴方だけよ、ゼニガメ!!」
「何だと!?」
ゼニガメは汗を流していた。
「ボイスレコーダーがあるの、気づかなかったようだな?ゼニガメ」
バクフーンが手に持っているのはボイスレコーダー。ピッとボタンを押すと、録音されていたボイスが流れ出した。
「これであの名探偵は解けないはずだ。コリンク、ちゃんと演技をしろよ」
「分かってる。僕の演技をすれば、名探偵でも気づかないはずだよ」
「ケケッざまぁみあがれってんだケケッ!」
この後も、ボイスが流れ続けた。声が聞こえるのはゼニガメとコリンク、ゲンガーだ。ボイスレコーダーの音声を切ると、エーフィに渡して、エーフィがゼニガメに言った。
「この事件の黒幕は、コリンク、よね?すべて、コリンクが仕掛けた事件でありすべて計算に居れた。」
ゼニガメは何も言わない。エーフィが近づいて、ゼニガメに手錠をかけた。これで本当に事件は解決しただろう。バクフーンとキュウコンはエーフィと一緒にクチバシティへもどった。待ってくれていたのはウインディとピジョット。会話をした後、ウインディとエーフィはゼニガメを連れて、警察署に行った。ピジョットはすぐ、居なくなってしまったが、バクフーンはキュウコンを連れてポケモンセンターへ行った。
「これ、お前にやるよ」
「これって…貴方が付けてる帽子でしょ?大切な物なんでしょ?」
キュウコンが受け取るとバクフーンに言った。
「あぁ。けど、俺はお前の事好きだし、信じてるから。受け継いでくれその帽子で」
バクフーンが言うと突然彼は照れだした。告白したって事だよね、今。キュウコンは笑った。けど、すぐ優しい顔になって言った。
「ありがとう、バクフーン」
END