名探偵バクフーン 一つ目の事件〜一つの言葉と一つの命〜 後編
「犯人は、この現場に居合わせた奴の中にいる。ピジョット、キュウコン、犯人を探すぞ」
「了解」
「分かったわ」
現場を離れ、三びきはそれぞれ話を聞くために離れた。
(食事の中に入れていたとしても、必ず体の中に入っているはず…そう言えば…)
話をある程度聞いたあと現場の201号室へバクフーンは戻った。
「やっぱり…無くなってやがる。あのサプリメントに毒が入っていたとしても、食事もサプリメントもなくなってる。……ゼニガメが証言してたあの言葉…」
「サプリメントに毒を入れたのなら、僕と弟が居なくなった時だと思うよ。僕は食事が終わった時は、外へ行ってたから…」
「弟はなんか、体の病気にでもなってたのか」
「はい…体の病気で、サプリメントを飲んでたんです」
「………犯人はゼニガメだ。サプリメントを飲んでる事なんて兄と弟しかしらない。まず、シェフに聞いても毒を盛った奴なんていない。何も気づかれずに入れられるのは、やっぱりアイツしかいない…でも、アリバイがアイツにはある。サプリメントが無くなってる今は…もう一人犯人が居るって言うのか?」
ドカッ!!
誰かが頭を殴り、そのまま意識をバクフーンは無くした。
「お…前は……」
〜2〜
部屋へ戻っていたキュウコンは目付きを鋭くしてドアを眺めていた。
「………バクフーン、貴方ならもう、犯人分かってるんでしょ?」
小さく彼女は呟いた瞬間、ドアの音が聞こえた。ガチャリという音が聞こえ、ギィイイという音が聞こえる。姿を表したのは、ピジョットだった。
「よぉ。お前、何か分かったか?」
「えぇ、まぁ」
ピジョットが声をかけてきた。キュウコンは顔つきを変えず低い声で答えた。
「バクフーンはまだ、帰って来てねぇのか?」
ピジョットはキュウコンに聞いた。
「帰って来てないわ」
「そうか…」
ピジョットが悲しい声を出した。するとキュウコンが言った。
「…胸騒ぎがするわ…ピジョット!行くわよ!!」
キュウコンは部屋のドアを開けて、走り出した。ピジョットは慌てて彼女の後を追う。
〜3〜
「うっ……!」
頭がズキズキする。殴られた頭を触ると、痛みを感じた。
「血…ったく、どれだけの勢いで殴ったんだよ……」
痛みを感じつつ部屋を見る。
(意識を失う前、微かに犯人の顔を見た……やっぱり犯人はアイツだ。サプリメントは何処だ…!?どこに捨てたっ!?)
部屋の中を物色をするバクフーン。混み箱の裏を見ると、サプリメントが転がっていた。
「見つけた!……!?」
何かを感じたバクフーンは後ろを振り向く。
「ゼニガメっ!!」
「見つけちゃったんだね?見つけたからには、生かしておくわけにゃいかないね!」
手には、金属バットを握られていた。
「何故、弟を殺した…」
「殺した?何で僕が弟を殺さないきゃ行けないんですか?」
「お前は、サプリメントに毒を仕込んだ」
「ふっ、どうやって?どうやってサプリメントに毒を仕込むんだい?そんなの、不可能だよ?」
〜4〜
「ハァハァ!ちょっと、ピジョット!早くしなさいよ!バクフーンが危ないのよ!?」
サントアンヌ号の廊下をすごい勢いで走るキュウコン。ピジョットは、翼を広げ、廊下を飛ぶ。
「わかってるよっ!地下だ!」
「えぇ!!」
地下へ走る二匹は階段を降りた。すると、一つだけ、部屋があった。ドアノブを捻るとドアが開いた。ドアを開けるとそこにいたのは、バクフーンと、ゼニガメがいた。
「バクフーン!」
キュウコンが叫んだ。
「キュウコン、ピジョット…」
「犯人はこいつか……」
バクフーンが彼らの名前を言った。ピジョットはゼニガメを睨み付けた。
「どうやって、サプリメントに毒を仕込んだのか、そのトリックを言いなよ?まさかぁ、言えないの?」
ゼニガメはニヤリと笑っていた。
「……テメェは注射器を使い、毒をサプリメントに入れた。そう、残っている全てのサプリメントに」
「そんな時間が掛かること、僕はしないさ」
「いいや、テメェはサントアンヌ号へ行く前からゆっくり仕込んでいた。テメェも、弟と同じサプリメントを購入していたんだろう。弟と同じ量に戻してサプリメントをすり替えた」
「そうか、同じ量にサプリメントを出して、弟がいない間にすり替えたってことか」
「そう、その時はすり替えたサプリメントは普通のサプリメントだった。すり替えた、弟のサプリメントに注射器で毒を入れた。そして、テメェは弟が居ないとき、毒が入ったサプリメントと毒が入っていないサプリメントを入れ換えた。テメェはすぐ食事を済ませて、部屋を出た。そしてそのまま、時間があとは解決する……推理は完璧だ」
ゼニガメは笑った。
「アッハハハハハ!!!さすが名探偵だ。その完璧な観察力と推理力。俺は完璧なアリバイと殺害をやったっていうのに、流石だぜぇ…バクフーンさんよぉ」
「テメェがヒントをくれたのさ。誰もサプリメントという言葉を口に出さなかったその言葉が……。さぁ、何で弟を殺害したのか、教えてもらおうか」
バクフーンが少し笑って答えた。そしてゼニガメに言った。金属バットを投げ捨てて、彼は口を開いた。
「弟は…死にたいって言ってたんだ。だから時間をかけて、俺がしたのさ。」
「何でそんな時間をかけて…」
キュウコンが呟いた。
「頼まれたんだよ…弟に…最初は断ったさ、けど、俺の弟だから、言うことを聞いてやった。」
「じゃあ、弟は分かってて飲んで、自殺したっていうのか?」
ピジョットが驚いて言った。
「そう言うことになるな。けど、テメェは証拠を隠蔽しようとした、だから捕まることには変わりはねぇ」
バクフーンはピジョットに視線を向けて言ったあと、またゼニガメに視線を戻して言った。
「自主するさ…逃げやしない」
そう言って、ゼニガメは苦笑いした。三びきはゼニガメを囲んで、サントアンヌ号はクチバシティに戻ってきた。外はもう夜だった。警察にゼニガメを渡して、彼らはポケモンセンターへ入り、一休みしたのであった。
「これで、事件は解決」
キュウコンがバクフーンの頭を包帯で巻いてバクフーンが言った言葉に彼女は言った。
「えぇ、そうね」
キュウコンは少し微笑んだのであった。