01
衝撃が、彼らを襲った。
「ぐわっ!」
誰かが悲鳴をこぼし、咄嗟にもう一人の腕を強く掴んだ。
「だ、大丈夫かっ!」
もう一人は、ひどい傷を負い、意識が朦朧としていた。
先程の衝撃からその誰かを庇ったから。
「離すんじゃない! もう少し耐えるんだ!」
誰かは必死にもう一人へと呼び掛ける。しかし、もう一人は聞こえていないのか、もしくはもう既に意識がないのか。ただ力なく腕を捕まれるだけだった。
「くそっ、このままじゃ……」
誰かは、もう一人を自分のもとへと引き寄せようとした。だが、そこへ無情にも二度目の衝撃が襲いかかる。
「うわぁぁぁぁあああ!!」
腕を握っていた手が反射的に開いてしまい、もう一人は誰かから離れていった。
誰かは必死にもう一人の名前を呼ぶが、それはなんの奇跡も齎(もたら)さない。
二人は離れ離れとなり、運命の嘲笑う声だけがその場に響いた。