第2話
ここはどこだろう?
いつの間に私はこんなところに来たんだろう?
ふかふかな藁のベッド、高い天井、青空を覗ける窓に頑丈そうな岩の壁。
ところどころツタや木の根っこが壁から飛び出しているが生え散らかっている訳ではなく
お洒落な空間をイメージして誰かが作ったような感じの場所。
心が落ち着く場所だ。
見た感じ誘拐とかそんな感じではなさそうだ。
そんなことをぼんやり考えていると、
「あっ!目覚めた?大丈夫?体とか痛くない?」
そんな高いような低いような、声が後ろから聞こえてきた。
声のする方に顔を動かすと、
全体的に黄緑色の体に、赤いお腹。
眼は黄色で深緑色の尻尾をもつポケモン。
キモリがこちらの顔をのぞきこむように立っていた。
キモリの物凄い心配そうな顔に私は答える。
「あー... 大丈夫...えっとあなたは...?」
「うん。体は大丈夫そうだね!えっと...僕の名前は リヒト・キモリ・アルバート。気軽にリヒトって呼んでね!」
「リヒト...アルバート...」
元気いっぱいに自分の名前を教えるキモリ。
その名前になんだか聞き覚えがあるような、ないような...そんな感覚を覚えた。
そんなことよりこちらも名乗らなきゃ!
「えっと私は....えー....?」
「どうしたの?」
私は困惑してしまった。何故だって?自分の名前が思い出せないのである。
一生懸命思い出そうとしているのだが、もうちょっとで思い出せそうで思い出せない。
頭の上に?マークを浮かべているような顔をしているリヒト。
そんなリヒトの後ろから新しい気配が現れた。
「リヒト、腹減っただろう?リンゴ、持ってきたぞ」
そう言いながらカゴに入ってるリンゴをリヒトに渡してくるポケモン。
赤い眼に青と黒を基調とした体、リオルだ。
「あっルド!見て見て!イーブイの子が目覚ましたんだよ!」
「?そうか、あぁお前もリンゴ食べるか?腹減っているだろう?」
そうやって話しかけてくるルドと呼ばれるリオルはこちらにリンゴを差し出してくる。
が、私は受け取れない。
リヒトの言ったイーブイの子、という言葉が
あることに気がつかせる。
何故こんなに天井が高い?何故キモリやリオルがでかく見える?
そしてこの場には私とリヒトとルドしかいないのに、何故イーブイの子と言った?
つまり私は
「ぽ、ポケモンに...なってる!!?」
私の絶叫が部屋中に響き渡った。