街のルール
現在7時5分。まだ他に登校しているポケモンはいない。ピカチュウはできる限り
人気の無い道を選んで登校していた。
「やっぱり都会だな〜。知らないポケモンが沢山....。」
街には大きなポケモン。小さなポケモン。多種多様なポケモン達が住んでいた。ピカチュウはその数に圧倒されていた。
ピカチュウはビルとビルの間の薄暗い路地を見つけた。
「よし。この道を通って行こう!。」
狭い路地の脇にはビール瓶やごみ袋、プラスチック製の箱が積み重なっていて、ますます狭くなっていた。ピカチュウはその路地を体を横にして進んでいた。
少し進んだ先に何やら
屯しているポケモン達がいた。学生服を着ている。どうやら同じ学校のポケモン達のようだ。そこに一匹のポケモンが囲まれていた。
「おいコラ!、俺の許可も無しにこの道を通ろうなんてなめた態度だな?!。」
「.....。」
そのポケモンは帽子を深々と被って目を合わせないようにしていた。
(わわあ!、どうしよう...。助けたほうが良いのかな...。)
ピカチュウは見たこともないような光景に圧倒されている。足がすくんで助けられなかった。
「ワンリキー先輩。こいつどうしてくれましょうか?。」
「そうだな、腕の一本でも折れば
喚き出すさ。」
ワンリキーの
恫喝にも囲まれているポケモンにはびくともしない。
ギロ!
帽子の隙間から鋭い目が見えた。その鋭い眼光にトリマキのポケモン達は怖がって
後退りをした。
「こ、こいつ...調子に乗ってんじゃねえぞ!。」
ワンリキーはみぞおちにパンチをくりだした。
「ひい!!。」
ピカチュウは余りの光景に目を
反らした。
「い!、痛ってええ!。」
なぜか殴ったワンリキー自信が痛がっていた。殴られたポケモンはなに食わぬ顔をしていた。
「おい!、今のうちに逃げるぞ!。」
「ええ!?、ぼ、僕!?。」
そのポケモンはピカチュウの手を引っ張りワンリキーやトリマキのポケモン達を押し退けて路地を脱出した。
15分ほど走っただろうか。
「お前、大丈夫か?。」
「う、うん...。ありがとう。」
2匹は学校の方へ走っていた。
「お前も物好きだな。あの路地を通るなんてな。物好きは俺だけじゃ無かったんだな。」
「ごめん...。僕、最近ココに引っ越して来たばかりなんだ...。」
「あ...、そうか。だよな。よそ者は『街のルール』なんか知らないよな。」
2匹は後ろを気にしながら校内に入った。
「あ、さっきはありがとう...。僕、ピカチュウ。よ、よろしくね。」
「俺はヨーギラス。ずっとこの街に住んでるんだ。この街の事なら何でも聞いてくれ。『街のルール』の事もな。」
ピカチュウは頼りになる友達が出来た。
続く→