マチナカ荘
「それじゃあピカチュウ君。照明のスイッチはここにあるから。それと部屋のガキはここ置いとくから。後テレビの音はあんまり出さないでね。寝る時は電気を消してね。それじゃあお休みなさい。」
「はい...お休みなさい。サーナイトおばさん。」
ピカチュウは田舎からマチナカ荘に越してきた。マチナカ荘はサーナイトが一匹で切り盛りしていた。他にも入居者がいるようだった。
「はあ....。サーナイトおばさん、良い人なんだけどお
節介なんだよな...。」
ピカチュウはテレビを消してベッドに入った。
明日の入学式の事を考えると眠れないでいた。
もう時計の針は3時を
指そうとしていた。周りからは物音ひとつ聞こえない。
「もう3時か...。このまま起きていようかな...。そうすれば心の準備もできるし...。」
ピカチュウの部屋は二階だった。その部屋の窓からは学校が見えた。月明かりしかないので窓から見る学校はとっても不気味に見えた。
「後4時間後には入学式か...。ああ〜...不安だな〜。」
ふと、荘の前の道路を見ると一匹の影があった。
「ん?。なんだあれ...。」
その影は学校の方に歩いていた。どうやらイーブイのようだった。
イーブイは学校の中に入っていった。
「なんでこんな真夜中に?。まーいっか...。きっと忘れ物でもあったんだな。」
もう6時になった。ピカチュウは登校の時間が近づくにつれ落ち着きが無くなってきた。ソワソワが止まらない。ピカチュウは早めに共同の銭湯に行くことにした。
「あらピカチュウ君。おはよー。」
「おはようございます、おばさん。(寝てないんだけどな〜。)」
銭湯に着くと先客がいた。どうやらミズゴロウの様だった。
「うわあ...。どうしようかな...。時間外そうかな...。」
ピカチュウは銭湯の入口で悩んでいた。人見知りな性格だった。
でもピカチュウは勇気を出して銭湯に入ることにした。
カラン
じゃぶじゃぶ〜
ピカチュウはまず体を洗った。こうすれば会話せずに済むと思った。
ゴシゴシ
耳や尻尾を念入りに洗った。ミズゴロウはまだ
湯槽に浸かっていた。どうやら長風呂が好きなようだ。
(あのミズゴロウ、いつまで風呂に浸かってるんだ?。)
ピカチュウは体に付いた泡を流した。
ざばばーん
頭からお湯を被った。耳や体を震わせて水をはじいた。
(上がろう.....。)
ピカチュウはお湯に浸かることもなく銭湯を出た。
7時になった。ピカチュウは制服を着てカバンに必要な物を入れた。学校に向かう用意ができた。でも心の準備はできてなかった。
「しょうがない...。早めに行って誰にも会わないようにしよう。」
ピカチュウはマチナカ荘を出て学校に向かって歩みだした。
続く→