01 モンスターボール
彼は後悔していた。
何故この道具を世間に出してしまったのだろう。
この道具が、ポケモンと人間の架け橋になってくれたら、という思いで作ったのに。
外でトレーナーと野生ポケモンがバトルをしていた。
トレーナーはモンスターボールを投げる。
抵抗していた野生ポケモンは、自我をだんだん歪められ、服従するようになる。
まるで洗脳。
今までのように、ポケモンとゆっくり絆を深めるための。
そんなことの手助けになれば。
そんな願いとは程遠い、その機能。
しかし、それでも。
この道具は、まだ逃げ道もある。
ポケモンから選んでくれることも出来る。
まだ、望みはある。そうおもいたい。
彼は後悔している。が、それでも。
彼はその道具を作り続ける。
叶うかどうかすら分からない望みを抱いて。