Happyend
もう駄目だ。前門の虎、後門の狼。
でも。レイと会えてよかった。
ここに生まれ、生きた価値。それなりに生きることが出来た。
腹を決める。
でも、諦めたくない。
……"力"を…使うか?
その誘惑が、頭の中で響く。
蛇のようにまとわりつく。
「……いや……おとなしく、捕まる…」
「私は、ルオが決めたならそれを選ぶよ」
その時。
"破壊の秘宝"が輝きだした。
その光景に、村人たちは驚く。
"秘宝"は、やがて美しい音色をこの世に響かせる。
美しい、柔らかい音楽。
それが自然のリズムと重なり、世界が震える。
破壊と創造は、どちらかが無いと成り立たない。
創らなければ壊せず、壊さなければ創れない。
そして、破壊が創造を、創造が破壊を生む。
今、ここで、"創造"が生まれようとしていた。
木々が、大地が、大きくなる。
岩が浮き、微かな地震が起きる。
木々は篭となり、村人たちを包む。
世界は、強く何度も瞬き……最後に、今までより強く光輝き、静まった。
「道が……」
大地が動いたことで、崖が低くなり、道ができていた。
それは、未来へと続くかのように見えた。