第二十三話 合流
シンオウ最大の都市コトブキシティ。
活気あふれる都会に訪れる者を出迎える巨大な施設、『グローバルトレードステーション』のビル内の一角にあるカフェでユウタは足を組み、薫り高い紅茶を楽しんでいた。
ファオは現在トイレに立っている。随分長いトイレだとは思いつつも、あの暑苦しいバシャーモが視界から消えているこの瞬間をユウタは満喫しているのだ。
最も、至福の瞬間も長くは続かない。
「ただ今戻りました〜」
間延びした声が聞こえ思わずため息が出る。ソーサーにカップを置き目を上げると紙袋を両手にぶら下げたファオが駆け寄ってくる。
トイレに行くと言っておきながら、どうやら『グローバルトレードステーション』のショッピングエリアで買い物に精を出していたらしい。
シンオウの地を踏むのは初めての様でお土産物を買いあさっていたのだろう。シンオウの特産品「もりのヨウカン」、「モーモーミルク」。それにシンオウ書店の紙袋から少し顔をのぞかせているのは・・「シンオウ神話全集」?
『シンオウ神話全集』は見たところ所謂上下二巻の学術書で、金縁に紺色の表装がこの本が大著なのだと暗示している。
土産物を買い漁っていたのは分かるが、何故こいつがこんなものを・・不似合いな。
「俺を待たせて買い物とはいい身分じゃないか、ファオ」
「いやぁシンオウは魅力的な所ですねぇ!安くでこんなに買えちゃいましたよ!」
湿っぽい視線と棘のある嫌味を軽くスルーするファオ。この飽きれるような図太さが彼の最大の強みだろう。
そして郷土愛が強いユウタの最大の弱点、故郷を褒められると途端に強く出れなくなってしまう性格をファオはよく知っている。
現にユウタは気勢を削がれ軽く舌打ちをして目を逸らした。そんな分かりやすい照れ隠しにファオの口元も緩む。
「・・ところで、ファオ。その本はなんだ?お前がシンオウの神話に興味があるとは意外だな」
話題を変える為に気になっていた『シンオウ神話全集』を指差す。
ファオは少し顔を俯け「ああ」と相槌を打った。
「シンオウは興味ぶかーい場所ですからね。表の三神と裏の王。大尉もご存じでしょう?――シンオウ時空伝説を」
本を袋から取り出し表紙を摩りながら、少し声のトーンを落として喋る。
ファオの視線は本の題名の上に注がれ、鋭い爪がコツン、コツンと本を二三度叩き軽い音を出す。
「シンオウ時空伝説・・。創生の神アルセウスが時の神ディアルガと空間の神パルキアを生み出し、三体の“神”がこの宇宙のすべてを生み出したというあれか?」
「ええ、“神”の住まう大陸に相応しい壮大な天地創造のストーリーです。好きなんですよね俺、こういう神話」」
『神の座』に鎮座するアルセウス、ディアルガ、パルキアの神々が世界を創世する神話。
シンオウ出身者なら知らぬ者はいない有名な話だ。
“表”の世界を支える為に存在する“裏”の次元、『破れた世界』やそこを統べる王ギラティナの話は特に興味深い。今もギラティナは世界の裏側からこの世に嫉妬を抱き続けている、そう前に読んだ神話集には記されていた。
その時は、随分人間臭い神様だと感じたものだが・・当たり前だ人間が書いたモノだ。人間らしい神が登場しても不思議ではない。
だが、シンオウでは有名な神話でも他の大陸ではマイナーなストーリーだ。ずっとイッシュにいた、しかも他大陸出身のファオが神話の存在を知っているとは正直ユウタにとって驚きだった。
しかし自分の故郷に興味を持たれる事は悪い気はしない。ユウタの実家の近くには古い遺跡がひっそりと佇んでいる。丁度いい機会だ、神話集まで買う程シンオウの歴史に興味があるのならぜひそこに案内しよう、そう思い口元が少し緩んだ。
「そーいえば、例の子はいつ来るんですか?」
「ああ、確かもうそろそろのはずなんだが」
約束の時間まであと40分と言った所だろう。向かいの席にファオが腰を下ろしたのを見てユウタも椅子に座った。
「時間もあるし、何か食うか?」
「折角シンオウに居るんですし、名産品を頂きたいですねぇ」
シンオウの名産品か。メジャーな所でいえばミツハニーの甘い蜜から作った甘味やモーモーミルクのアイスだが、この大食いには物足りんだろうな。
ファオの食欲は底知れない。胃が異空間とつながっているんじゃないかと思うぐらいによく食べる。見てる此方の気分が悪くなる成程の食べっぷりだ。
スイーツでは足りんだろうし腹持ちがいいメニューがあればいいんだが、などと考えているとふと斜め後ろの客の食事が目に留まる。
その衝撃的な黒さが他の客の目を引く、オクタンの墨をソースに使ったパスタ。オクタンパスタだ。
シンオウの隠れたる名物料理で、ユウタも前々からチャレンジしてみようとは思っていたもののそのあまりの見た目に及び腰になってしまい、いつか食べよういつか挑戦しようとずるずると何となく食べるのを引き延ばしていた結果、興味自体を失ってしまい、今の今まで存在自体忘れていたのだった。
「ファオ、これなんてどうだ?」
メニューを開きオクタンパスタの写真を指差すと、ファオは目をぱちぱちと何回か瞬かせ写真とユウタを交互に見比べて呟いた。
「・・随分個性的なチョイスするんですね。というか、ホントは大尉が食べてみたいんじゃないですか?」
図星だ。ユウタは予想外の鋭い指摘に視線を泳がす。
「別にそういうわけじゃないが・・」
ファオにかこつけて自分も同じものと思ってたのだが、まさか見抜かれるとは思っておらず、少々動揺しながらも何とか取り繕う。
が、ファオはにこっと笑うと「じゃ俺もオクタンパスタにします」と言い、ウェイターを呼んだ。俺“も”と表現するあたり相変わらず妙な所で気遣いが出来る奴だなとユウタは改めて思うのだった。
****
一方、ジュンはシンオウ空の玄関口「コトブキ空港」に到着していた。現在、ボーディング・ブリッジ(旅客搭乗橋)を通過中である。
機内及び空港内では基本的にポケモンの連れ歩きはあまり推奨されない。最も、小さなサイズのポケモン、例えば腕に抱きかかえられる程の大きさならば許される場合が多い。
ブリッジの通路を抜け、シンオウへの入国ゲートに赴く。ジュンがいるこの場所はシンオウでもイッシュでもない言わば中間地帯だが、このゲートを一歩抜ければそこはもうシンオウだ。
ポケモンハンターなどと言う後ろ暗い商売をしてはいるものの、表向きはPHC所属の職員であるため、パスポートもイッシュ政府の外務省から発行してもらえている。
入国ゲートを抜け、そのままコトブキ空港ロビーへと足を進めるジュン。確かリーフが指定してきたのは2番ゲートだったはず、そう思い出しながら「2」の標識の着いたドアを潜り、空港の外に出ると見慣れない長い車体の黒い車が停車していた。
「リムジン」と呼ばれる高級車両で、中間の扉には2枚の葉が重なったデザインのマークが印されている。間違いない、リーフの使いだ。
近づくと、扉が自動的に開いた。僕の顔を知っているのだろう。リーフが派遣したお抱え運転手なんだから当然と言えば当然だけど。
「黒羽準様、お待ちしておりました」
流石高級車両。内部は非常にゆったりとしていて、まるでここが車内であるという事も忘れて寛げる。
唯一欠点を上げるとすれば、内装が派手、と言うか白地の内壁に金の縁取りや肘掛といった装飾を施すのは少々悪趣味だと少なくともジュンはそう思うのだった。
折角だから、ポケモン達も出してあげようかな。マンダは体格的に無理だけど。
「あの、ポケモン出していいですか?サイズはそんなに大きくないんですけど」
「どうぞ、黒羽様のお好きになさってくださいませ」
運転手さんも快諾してくれたし、とジュンはボールのスイッチを押してソル、レイシア、ワーズを車内に出す。
人間でさえ滅多に乗れない高級車に物珍しさを感じているのか、ワーズ達は興味津々といった様子で車内を見渡している。
大してソルはさも下らないと言った風に鼻を鳴らし、ボソッと呟いた。
『ふん、下らん。成金趣味は好きじゃない』
「まぁそう言わずに、折角のリーフの好意、ありがたく享受しておこうじゃないか」
両前足の脇に手を入れてソルを持ち上げると、ジュンはそのままソルを抱きかかえた。やはり直に触れると毛皮越しに傷跡の存在か感触で分かる。幾多の古傷は彼が自分の過去を語りたがらない理由をひっそりと暗示していた。勿論、ソルのプライベートに土足で踏み込むような真似をジュンはする気は無い。ので、何も言わずに窓の外をそっと眺めた。
「ほら、見てごらん。シンオウだ。ソル、確か君はシンオウは初めてじゃ無かったかな?」
『シンオウか。イッシュよりも落ち着いていた感じはするな。俺はどうにも都会の喧騒ってのが苦手なんだが、ここだと少しリラックスできそうだ』
ソルの言う通り、ここシンオウはイッシュよりも全体的に静かな印象を受ける。人混みや騒音に満ちた都会の環境が基本的に嫌いなソルの肌にはよく合いそうな場所だ。自然が豊かで年中気温は低めとくれば、保温に優れる毛皮故に暑さに弱いソルにとってこれ以上ない避暑地となるだろう。
「リーフの別荘に着けばもっと寛げるさ。あそこは自然に囲まれた静かな環境だ。言ってみればリーフの隠れ家みたいなものだからね」
指でソルの頬を撫でると気持ちよさそうに喉を鳴らす、その姿を見てジュンの顔も少しだけ綻ぶ。
「あ、すいません『グローバルトレードステーション』で止めてくれませんか?ちょっと知り合いと合流したいので」
「了解しました、黒羽様」
シンオウ地方最大の都市、コトブキシティが窓越しに見えてきた。
と言っても規模でいえばイッシュの半分といった所だろう。ただ良くも悪くも煌びやかな不夜城のイッシュの都市とは違い、落ち着いた雰囲気が見られる。ソルが好みそうな所だ。
ジュン達を乗せた車はコトブキシティ前の公道を進み、そのまま『グローバルトレードステーション』の駐車場に到着、停車した。
「あれ、いないな」
座席に座ったまま窓の外を見てみるが、建物の前にユウタの姿はどこにもない。きっと施設の中にいるのだと思い、ジュンは扉を開け車内から出て駐車場のコンクリートの上に降り立つ。後からソル達もぞろぞろと下車した。
『空気が綺麗ね〜排ガスで汚れまくったイッシュの空気とは比べ物にならないわ』
『シンオウ、来てよかったよね!レイシア』
レイシアとワーズがスゥと息を大きく吸い深呼吸している横で、ソルは目の前の『グローバルトレードステーション』を眺めている。イッシュでも巨大な部類に入る程大きな建物、シンオウ最大のポケモン関連の施設だ。
ジュンが歩き出すと後ろからソル達も付いてくる。見渡せば、トレーナーばかりだ。中にはポケモンを連れ歩きしている者もいる。
GTSの正面フロント前の駐車場でさえこのトレーナーの数だ、いわんや施設内のトレーナーの量と質は想像を絶するものがある。
『・・随分とトレーナーが多いな』
「シンオウ最大のポケモン施設だからね。トレーナーが多くて当たりまえさ。希少なポケモンもいる可能性が十分あるし・・」
口元を少し歪ませ冷笑を浮かべるジュンの横顔を見上げ、足元を歩きながらぼそりと釘を刺すように告げた。
『分かってはいるとは思うが、人目が多い場所での“狩り”は控える事だ。俺達はこの場所に地の利が無い。いざと言うときの逃亡ルートを確保できていない以上、派手な行動は慎むべきだ』
シンオウのポケモン達を前にした興奮に水を注す発言にジュンは少し顔を顰めるが、確かにソルの主張ももっともだと思い直し、軽く頷いた。
何時も寡黙な分だけ、ソルの意見や指摘は重みがある。そしてそれは何より信用に足るものだ。
ジュン達は正面の自動ドアを潜り、施設内へと足を踏み入れた。
遠く離れた地のトレーナーとのポケモンの交換は勿論、ポケモンバトルやポケモン関連の雑貨や小物などポケモン関係の設備の充実ぶりは世界でも指折りの質だ。
正面近くにはポケモングッズ専門店が立ち並ぶ。特に目を引くのが店の棚に飾られる精巧なポケモンのぬいぐるみだろう。ワーズとレイシアが目を輝かせて陳列されたぬいぐるみに見入っている。
『ジュン、見て!あのアブソルのぬいぐるみ。かっこいいわねぇ。よく出来てるわ、ほんと』
レイシアはうっとりとした目線をアブソルのぬいぐるみに向けていたが、後ろで黙っているソルの方を向き『でもソル、あなたの方が100倍素敵よ』と頬を赤らめながら恥ずかしげに呟いた。しかし流石はソル。そんなクサい台詞も黙って受け流している。
というか、PHCの暗部についてユウタと意見を交換する為に僕はここにいる訳で、ああ、後リーフに呼ばれたのもあるけどさ、兎に角観光の為にシンオウに来たんじゃないんだけど。
しばらくレイシアとワーズの気が済むまでぬいぐるみコーナーで立ち止まった後、ジュンはポケモン達を連れてトレードステーションの施設内を歩き回る。
10分ほど探し回っただろうか、丁度あまりの人の多さに少々辟易してきた頃、ふと片隅にあるカフェが目に留まる。
天外のテーブルで真っ黒のパスタを平らげている青年こそ、間違いない――ユウタだ。
向かいの席にはバシャーモも同席し同じ料理を口に運んでいる。ユウタの手持ちポケモンかな、そう思いジュンが近寄るとユウタは顔を上げた。口も周りが凄いことになってる。真っ黒だ。
「おお、ジュン」
備え付けの紙ティッシュで口の周りを綺麗にふき取り、ユウタは片手をあげ挨拶をする。
「やぁユウタ。待ち合わせ時間に遅れて何をしてるかと思えば優雅に食事とは驚いたね」
「ん?ああ、もうこんな時間か」
謝罪の言葉もなくユウタは立ち上がり、レシートを掴むと店の奥に消えてた。支払いに行ったのだろう。
はぁとため息をつき目を上げると、同席していたバシャーモと目が合う。嘴の汚れを黙って拭いながら何をするかと思えば、いきなりこちらに近づいてきた。
え、なにこのバシャーモ。
妙な威圧感に押されジュンは一歩引き下がるも、バシャーモは大きく両手を広げ――身長190センチはある大柄で筋肉質な体で来られると迫力が凄い、と言うか暑苦しい――ジュンの肩にそのまま両手を置き、バンバンと二、三回叩くと、ニマッと笑った。
「ジュン君だね、キミ!話は大尉、じゃなかったマスターから聞いてるぜ。いやぁ話の通りカワイイ子だな〜」
完璧な人間語を当然のごとく喋ってきただけでも驚きなのに、会ってそうそう、しかも初対面だと言うのに肩に手をまわして頬擦りしてくるのだから、ジュンはどう反応していいのか分からず目を丸くして固まってしまいされるがままで、その反応に気を良くしたのかバシャーモはジュンの体を撫でまわし始めた。傍目にはポケモンがトレーナーに甘えているようにしか見えないため、道行く人々も微笑ましそうな表情で通り過ぎていく。
「えっと、あなたは・・」
「俺はファオ。バシャーモのファオだ。ま、ボディガードみたいなもんだ」
ジュンにべったりとくっ付いたまま簡単な自己紹介をしたバシャーモ、ファオ。後ろから順に抱きついたまま、ファオは視線を手持ちポケモン達へ向けた。
最初は、肉薄を伴った愛情表現に思いっきり退いているレイシア、今一つ状況を掴めていないワーズ、そして―――ソルへと視線が注がれる。
「・・お」
『―――』
ファオとソルはお互いに驚いたような、予想外といった風な視線を交わし合う。まるで街中で偶然に昔の友人に会った時のような表情、と言うには少々両名の顔つきは固い。何とも言えない微妙な表情をしているが、どうやら彼らは顔見知りであることは確かなようだ。
へぇ、このバシャーモ、ソルと知り合いなのかな。
考えてみればソルはジュンの手持ちに加わる前、数多くの人間に雇われ各地を転々としていたらしい。
今の「ソル」って名前も僕が種族名「アブソル」からとってつけた名前だし、彼にしても『好きなように呼んでくれて構わない』としか言わないし、一体彼の本名は何なのか、それとも各地で別々の名前で呼ばれててもう本名なんて当の昔に捨ててしまったのか、そもそも一体彼はどんな経歴を辿ってきたポケモンなのかそれさえもソルは明かしてくれない。僕だけにじゃなくワーズやレイシア、それにマンダにも。
だから偶然にも昔の知り合いにソルが出会ったとしても不思議じゃない。何だか訳ありげな雰囲気だけど、どうせ尋ねても答えてくれないだろう。
「ソル、彼と知り合いなの?」
『まぁ、昔いろいろとな・・』
しゃがんで尋ねるもソルは俯き気味にボソッと呟くだけだ。顔を上げてファオを見るも上っ面の笑みを浮かべているだけで何も言わない。
彼らの間に横たわる複雑な事情を何となく察したジュンはこれ以上の詮索をする気にはなれなかった。
ソルとファオと名乗るこのバシャーモの間にどんな過去があるのかは分からないが、それが喜ばしいものであれ辛いものであれ、と言ってもあの反応から察するに少なくとも薔薇色の過去とはいかないようだが、とにかくかなり込み入った関係であることは部外者であるジュンにも分かる。
気にならないと言えば嘘になるが、これまでソルと付き合ってきた経験上、彼が口を噤む時に無理に詮索すると余計に口が堅くなるのがソルというアブソルだという事をジュンは知っている。今は何も尋ねまいと思い直し、黙って立ち上がると、仕切り直しにファオに握手を求めた。きちんと自己紹介をしておいた方がいいだろう。場の空気を換えるためにも。
「自己紹介が遅れました。僕はジュン、黒羽準です。PHCの職員をしています。ユウタとは同期ですが、ファオさんのような人間語が達者な方がパートナーだとは知りませんでした」
PHCの職員というか、PHCの裏稼業の為に雇われたポケモンハンターなのだが、初対面のポケモン相手に「ポケモンハンターです」などと言うわけにはいかない。それにジュンは嘘をついている訳じゃない。例え雇われハンターであっても立派な“職員”なのだから。
「いやぁマスターから常々君の事は聞かされてたからな〜何でもとっても優秀な職員だとか!俺もジュン君に一目会いたかったんだぜ。なんたって俺達ポケモンと関わるお仕事だものなぁ」
このバシャーモ、僕の事を何か知っているのか?
ユウタもPHCの雇われハンター、と言ってももっぱら情報収集専門で実際にポケモンを捕獲したところを見たことが無いけど、彼の性格的に自身の素性を明かすとは思えない。このバシャーモがただのボディガードなら、彼自身の事も僕の事も明かされていないはずだけど・・随分と含んだ言い方をするんだな、ファオさんは。
「待たせたな」
店の奥から支払いを終えたユウタが姿を現す。怪しい雰囲気の2名のポケモン達の事はこの際保留だ。今は、ユウタとPHCについての情報交換することが優先事項だからね。
合流した後、ジュン達一向はリーフ邸へと向かうため駐車場に待たせている送迎車の元へ向かうのだった。