06
まずは屋敷に接近する。偵察だ。
「どうやらオレが前に来た時と内部構造は同じようだな。」
「防犯設備は最新のじゃない?」
「でもこれは連動式だ。親機を壊せば全部ダメになる。」
一通り見回ったところで作戦に移る。
今回は、この屋敷のメイン電源を破壊し、防犯設備や明かりが作動しない間に[あなをほる]で地下牢からアサヒを救出する、というもの。サブ電源が作動する迄に済ませなきゃいけないスピード勝負であるが、勿論そこはあくタイプ。暗い中でもバリバリ動く。
「最後はお前も頼むぜ!」
「了解!幸運を祈るよ。」
モフ――怪盗クロはソラの背中から飛び降りると、
「[シャドーボール]!」
電源装置を破壊。刹那、屋敷の明かりは一斉に消え、内部は騒然としている。ここまで作戦通りだ。
「[あなをほる]!」
すぐに地中深くへと潜り始める。そのスピードはモグリューやドリュウズもびっくりだろう。それだけアサヒを助けたいという気持ちが強いのだ。
地下牢の構造は、ワンフロアの4分の1の広さが鉄格子で区切られてるだけ。つまり、そこを掘り当てれば一発でアサヒを助けられるチャンスなのだ!ここはモフは慎重に掘っていく。
と、モフは壁を掘り当てた。小さな穴を開け様子見。警備員達が停電に慌てふためく様子が良く分かる。今なら警備は甘そうだ。
「[アイアンテール]!」
思いっきり壁をぶち破る。予想通りそこは牢屋の内部。パッと見そこには警備員はいないようだ。
肝心のアサヒは…いた。牢屋の隅でまるで何かに怯えているようだ。
「君が怪盗シロか?」
「はい…あなたは…?」
「オレは人呼んで怪盗クロ。大丈夫。オレは君を助けに来た。」
「僕の味方…?」
「ああ。オレを信頼してくれるならついて来い。」
そう言うと、モフは今掘ってきた穴に再び潜る。アサヒもすぐさま続く。
「あの…クロさん。助けてくれてありがとうございます。」
「例なら後にしてくれ。まだ気が抜けない。」
流石にいい加減電気が復旧してもいい頃だ。あれだけ派手な穴を掘ってきたんだ。明かりが点いたらこっちまで追ってくるだろう。
「さあ、出口が見えてきたぜ。」
先陣を切ってモフが先に穴から飛び出る。その瞬間。
「[つっぱり]!」
「危ない![サイコキネシス]!」
突然のハリテヤマの攻撃をアサヒがギリギリのところで止める。
「ホントですね。準備しといてよかったです。」
アサヒが穴から飛び出てこう言った。
目の前にいるのは100は優に超えるかくとうタイプのポケモン。
「どうだ?15はいけるな?」
「勿論です。」
「OK。じゃあそっちは任せた! 」
モフの合図と共に2人とも行動開始!