04
翌朝モフとエンが学校に出勤すると、他の先生方が1つの机に集まっていた。
「おはようございます。皆さん、どうしたんですか?」
「ああ、おはよう2人とも。ちょっとこの記事を見てくれんか?」
教頭先生に呼ばれて駆け寄る2人。どうやら皆は新聞記事を見ていたようである。
「これなんだが…」
教頭先生が中面の少し小さな新聞記事を指さした。見出しは《10年前のデジャブか?四度怪盗シロ出現!》
「何ですかこれ。」
「怪盗シロって…お前弟子でもとってたのか?」
「んな訳ないよ。オレも怪盗シロなんて初めて聞いた。オレは一人で行動してたし、一緒にやってたのはグランとドンとフレイムとソラだけ。まあ確かにニョロトノ邸は警備が甘かったけどさ…」
さらりと職員室内で教育者のタマゴらしからぬ事を言い出す。
「コホン。で、今回君たちに見てもらいたいのはこっちだ。こっちの写真だ。」
その記事には小さいながら、防犯カメラの映像を切り取って載っけている。そこに映っていたのは、山高帽を被り、マントを羽織って仮面をつけた一匹のエーフィ。
「このエーフィなんだが…君たちのクラスのアサヒ君じゃないか?」
「「えっ!?」」
確かにこのエーフィ。標準的なエーフィと比べて小柄だ。アサヒもクラスでは小柄な方だ。あと、目もともどことなくそんな気がする。
「いや、でもですよ。」
エンが反論する。
「俺、アサヒのバトルの実力を知っています。確かにアイツはバトルの実力があります。でも、[ねんりき]をここまでうまく使いこなせない筈です。一度手合わせした時も、[ねんりき]を使いこなせていませんでした。ましてや、記事に拠れば犯行は遠距離からの[ねんりき]による犯行、アイツにできるとは到底思えません。」
エンの言葉に皆は思わず納得してしまう。余り[ねんりき]を使わないアサヒのバトルスタイルを知っているからだ。
「ひょっとしてですけど…」
モフが口を開く。
「アサヒ=怪盗シロっていうのがバレたくないんじゃないですか?いや、オレも皆にバレたくなくて《怪盗クロ》って名前使って…結局エン兄にバレたけど…多分一緒じゃないのかなって思って。誰に何をバレたくないのか知らないですけど…。」
「とりあえず様子を見よう。2人とも、任せたぞ。」
「「わかりました。」」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「って訳なんだよ。父さん、怪盗シロなんて知ってた?」
「いや、全然知らないな。モフの事を尊敬してたんじゃないのか?」
「そう。オレ調べたんだけど、コイツオレが過去にやったところで、しかもオレと同じ順番でやってたんだよ。」
その夜、その話を話題に食卓を囲むライとエンとモフ。ミドリは例のごとく取材。あと、エンの奥さんのグレイシアのグレイスと息子のイーブイのモコの5人で夕食を食べている。
「次どこに現れるかわかるの?」
「確かあん時は…!」
何かを思い出したかのように食卓を立ち、すぐさま家を出る。
「どこ行くんだ!」
「この次はグランとドンが逮捕されたマッスグマのラインの所だ!アイツが危ない!」
モフはとにかく急いで向かった。