08
「まだだ…。私は負けない!エーフィ!」
これほどまでに追い込まれた状況でもまだ戦うのか!?よっぽど俺たちを殺したいと見える。
「エーフィ![サイコキネシス]です!アイツらをもう一度あそこに…」
『『『『させない!』』』』
ハヤシガメたちの反応は早かった。エーフィに技を出させる前にこっちから攻撃!
『[リーフストーム]!』
『[ほのおのうず]だ!』
2つの渦がエーフィを襲う。予想外の攻撃だったのか、防御できずに吹っ飛んだ。
「皆サンキュー!」
『流れはこっちに傾いている。決めるなら今だ。』
『OK!お前らばっかにいいカッコさせねーからな!今度は俺の番だ!』
エーフィに止めを刺すべく、俺は得意技を繰り出した。
『喰らえ![リーフブレード]!』
クリーンヒット!急所を捕らえられたエーフィ。戦闘不能である。
「そ…そんな…ここまでというのか…」
ヨノワールは膝から崩れ落ちた。
「あとはそのマシンを」
『壊せば俺たちの完全勝利だ!』
「!?」
俺たちの言葉に異常な反応を示したヨノワールを他所に、俺たちはマシンを壊すべく攻撃する。
「き…貴様ら!」
これほどになっても自分の野望を諦めないヨノワール。立ち上がってコンピュータを守ろうと駆け出す。が…
『[ほのおのパンチ]!』
『[リーフブレード]!』
『[エナジーボール]!』
『[10まんボルト]!』
ドカーン!
ガッシャーンっ!!
間に合わなかった。粉々に粉砕したコンピュータを前に再び膝から崩れたヨノワール。
「この世の終わりみたいな顔しないでよ。」
そんなヨノワールにコウキが声をかける。
「悪いけど今回は僕たちの完全勝利だ。君にはその野望を諦めてもらう。人類の滅亡だなんてたまったもんじゃない。ただ…」
そこでコウキは言葉を詰まらせた。その理由は俺にもわかった。
『タイムリミットか…』
身体がスーッと軽くなったのだ。
「僕たちは君の命を奪ったりしない。その代わり、ねーちゃんと、皆と新しい世界を作って欲しい。人間のせいであんな未来が来たかもしれないけど…そんなの今から変えられるはず。」
『だから…俺たちの代わりにそういう世界を作ってくれ!最期の頼みだ。』
膝を地面についたままヨノワールは頭をコクンと下げた。
「あと…皆。ここまで一緒に戦ってくれてありがとう。」
「当たり前じゃない。私達、ホントの姉弟じゃないかもしれないけど、今までそうやって育ってきた。きっとあの世に逝ってもそうだから…。」
『俺も皆に会えて嬉しかった。ハヤシガメもルクシオも強くなったな。』
『絶対ミドリの夢は僕たちが叶えるから!』
『あと、ミドリの分まで長生きするからな!』
気づいたら俺の下半身はほとんど消えていた。
「『じゃあな。』」
その一言を言ったあと、俺の意識はこの世になかった。
天高く昇ったところ。そこからテンガン山にいる皆が見えた。
「皆泣いてないね。」
コウキだ。
「こっから皆のこと見えるし、ミドリがいるから寂しくないね!」
『ああ!』
そして2人声を揃えて、目の前に広がる大空に向かってこう叫んだ。
「『コイツらならきっとやってくれる!』」