06
…ここは?
見渡す限り周りに何もない。ただ真っ白なだけ。
多分俺死んだんだ。ここが天国なのかな?全然楽園なんてもんじゃない。寧ろ独りで寂しい地獄だ。
それ故か、なんとなく誰かに会いたくなった。近くには誰もいそうにないが、なぜかしら誰かがいる気がしてたまらなかった。
「この辺を歩いてみっか。」
止まってたらなんも進まないし、とりあえず歩き出す。
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とはいえ、何の代り映えしない風景に流石に飽きてきた。これから永久にここにいなきゃいけないなんて、絶対にここは天国じゃない。イメージとはかなりかけ離れてるが地獄だ。
いい加減休もうかな、なんて思った時だった。
「あれ?」
地平線の先にうっすらと影が見えた。それがだんだんと近づいてくるのがわかった。近づくにつれてその影の姿がだんだんとはっきりしてきた。
まさかな、とは思った。でもそのまさかだった。
「コウキ!!」
「ミドリ!」
思わずコウキに抱きついてしまった。んで、不覚にも泣いてしまった。
「ミドリ泣かないでよ。確かに僕は皆に迷惑かけたけどさ。」
「うっせー!だからだろーが!!」
「そうだよね。ゴメンね。」
それからしばらく、俺たちは再会の感動に浸っていた。そりゃだって嬉しいじゃん。
「あのさ、ミドリ。」
コウキが改まって話を切り出したのは、あれこれ話した後だった。
「僕、ここに来る間にいろんな物を思い出したんだ。ねーちゃんと遊んだことやケンカしたこと。旅したこと。そして…僕たちがこの世界に来たわけ。」
「え…お前それって…」
「そう。僕たちはまだ死んじゃいけない。」
――その通り。
どこからか声がした。声、というかテレパシー?セレビィじゃないけど。
「彼らの声だよ。」
コウキが懐から何かだした。それは…
「《赤い鎖》?」
「そう。これはエムリット、アグノム、ユクシーの3体のポケモンを犠牲にして作られた。でもね、肉体はないかもしれないけど魂はまだ死んじゃいない。」
――僕たちは実際に攻撃したりすることはできないけど、君たちを助けてあげられる。
――だからあなたたちを元の世界に戻してあげる。
――だから…勝って!
魂の叫びとはまさにこのこと。ずっしりと心に響く。
「ああ!ヨノワールなんかコテンパンにやっつけてやるよ!」
「やる気だね。」
「あたりめーだ!お前こそビビってねぇだろーな?」
「勿論!」
そして互いに拳をぶつける。これが俺たちの信頼の証。
――覚悟は決めたね。
「「おう!」」
――あとは任せたよ……
そこで俺は身体がふわりと浮く感覚を感じた。
もう死ぬってわかってる。だったら残った時間を派手に行こうぜ!