05
あっさりと自白した。そして、アカギが殺されたのに下っ端は慌てる様子もない。それどころか平然としている。
「コイツらはヤミラミって訳か。」
「ご名答。全くもってその通りですよ。残酷ですよね。奴は私たちに利用されていることを知らずに死んでいったのだから。そして…」
アカギが動かしていたコンピュータを再び操作する。
「あなた方もね。」
「えっ!?」
それを聞いて黙っちゃいられないのはヒカリ。突然目隠しを外されて、目の前で人が1人死んでいて、自分の仲間が殺されそうになっているのだ。何がなんだかわけがわからないだろう。
「ヒカリさんもそうでしょう?今まで弟だと偽ってきたコウキに罪を償って貰いたいでしょう?どうです?このスイッチ押しませんか?」
「やめろ!ヒカリを巻き込むな!」
「《巻き込むな》?だって彼女も私のことを知ってるんでしょ?今更部外者扱いする必要なんてあります?」
「それでもだ!ヒカリはこの時代の人間。俺たちのくだらん争いに絶対に巻き込むな!絶対に…」
「待って。」
思いがけない方向から声がする。そう。話に割って入ったのはヒカリだった。
「部外者かそうじゃないかって言われたら分かんない。でも…私たち、死ぬかもしれないんでしょ?そんなの私が嫌だ!だから私も戦う。仲間が死んでいくところなんか見たくない。」
ヒカリの目は真っ直ぐだった。自分も戦ってやる、そんな気持ちが伝わった。
「素直ですね。まあいいでしょう。で、死にたくないから戦うということで今からあなたを我々の敵とみなします。なら時間稼ぎです。ヤミラミ!」
下っ端もといヤミラミがポケモンを繰り出す。
俺もだけど、トレーナーがポケモンってわかっててバトルしているポケモンの気持ちってどんなんだろう?って思いながらヒカリと下っ端のバトルを見てたら。
「さて。あっちはあっちで任せるとして、こっちは始めてしまいましょう。」
しまった!完全に存在を忘れてた!
「ハヤシガメ!こっちだ![エナジーボー]… 」
「させません。エーフィ、[サイコキネシス]です。」
『同じ手に2回も引っ掛かんないよ!』
そう。以前ナエトルのときにこの手口に引っ掛ってる。十字架を破壊する前にエーフィを攻撃。エーフィは対応できずに吹っ飛ばされる。
『よし!次はそっち…うわあっ!』
誤算だった。ヨノワールはいつの間にか2枚目のブーバーンを繰り出し、[だいもんじ]を繰り出していた。ハヤシガメはモロで喰らってしまって一発で戦闘不能。
「えっ!?ミドリ!?きゃあっ!」
思わずヒカリがこっちに気を取られた瞬間、ヤミラミの反撃がヒカリを襲う。
「よくも手こずらせてくれましたね。でもこれで私の計画がうまくいくのです!」
カチッ
スイッチを押す音が聞こえた。と同時に身体中に激痛なんてもんじゃない痛みが襲う。
「ぐぁアアアアアアアッ!」
「いいぞ!もっとだ!生命エネルギーを吸い取るのだ!」
ヤバイ…もう魂を持っていかれそう…俺、このまま死ぬのかな…………。