03
次に意識を取り戻したとき、目の前にはさっきまでのポケモンセンターとは全く違う光景が広がっていた。
「ここは…?」
――ここはヒカリの時代から200年後のクロガネシティだよ。
「「えっ!?」」
セレビィにそう言われて思わず驚いてしまった。それはヒカリも同じ。
辺りは『殺風景』っていう言葉が上等に思えてしまう位に荒廃している。
――この空間の時が停止しているんだ。
「時が停止…」
スゲー事を言ってるはずなのに、目の前の光景を見ていると「ホントなんだなぁ。」って思ってしまう。
『風が…吹いていないね。』
『それだけじゃない。この滝見てみろよ。固まったまま流れないぞ。』
「思い描いた未来と全然違うな…。」
皆が思い思いの感想を述べるが、とりわけヒカリの一言が俺の心に響いた。
――こんなことを言いたくないけど…全部君たちの時代のニンゲンのツケなんだ。神のチカラを欲したニンゲンの…。
「ニンゲンが何をしたって言うの?」
――今から話すよ。
――――side セレビィ――――
西暦2014年。欲望にまみれた1人の男が時間と空間の秩序を乱した。ディアルガとパルキアを強引に復活させたんだ。
その男こそ、ギンガ団のボス・アカギだった。
彼の目的。それは、時を司る神・ディアルガと空間を司る神・パルキアのチカラを利用して新しい世界を創ること。何の為に?それはわからないけど…。
彼はその過程で多くの人とポケモンの命を奪った。彼の部下、テンガン山周辺に住んでいる人達、そしてディアルガとパルキアを復活させるのに必要な《赤い鎖》を作るためにアグノム、ユクシー、エムリットの命もね。
それだけの代価を払ったんだから、ディアルガとパルキアは復活した。でも、アカギ自身ではコントロールすることができず、アカギも亡くなった。
悲劇が始まるのはここからなんだ…。