02
光が消え、視界が開けた。そんな俺たちの目の前にいたポケモン――そう。例の記憶に映っていたやつ。
「えっ?セレビィ!?しかも喋ってる?」
「違う。テレパシーだ。それなりのポケモンはそれなりに使える。」
ある意味チャンスだ。俺に何があったのか、なんで記憶を無くしてしまったのか、この際ハッキリさせておきたい。
と、ここで改めてセレビィを見る。その表情はさっきの笑顔とは打って変わった、寂しそうな顔である。
「どうした?俺、何か悪いことしたかな?」
――ううん。でも、やっぱりわかる訳ないか…。
「やっぱり?」
俺はその一言に妙に気になった。コイツ、何か裏を知っている。
――ボクは見てのとおりセレビィ。名前はあるけど、この時代の発音に直せないから普通にセレビィって呼んで。ミドリとヒカリだね。
セレビィは自己紹介をする。俺の事はきっと、というか絶対に知っているんだろうな。だが、そこでヒカリの名前が出るとは思わなかった。
――なんで私の名前を知ってるの?って顔をしてるよ。
「それは…だって、幻のポケモンが私の名前を知っているんだよ!驚くしかないよ。」
ヒカリはまだ目を丸くしている。
そんなヒカリをよそに俺はセレビィにこう切り出した。
「なぁセレビィ。お前は俺のことを知っているんだろ?でも、申し訳ないが俺はお前の事を知らない。
でもな、昨日思い出した…って言うのかな、そんなワンシーンにはお前がいた。
その…こんな聞き方ないと思うが、俺は一体なんなんだ?なんで何も覚えてないんだ?」
セレビィは一瞬考える素振りをみせる。と、俺にこう言った。
――真実を全て知る勇気はある?
「覚悟は決めた。何があっても受け入れる。」
わかった、と言うとセレビィは両手を差し出した。
――ボクの手にしっかり捕まって!
「な、何をするんだ!?」
――200年後の世界に行こう。記憶を取り戻すのは無理だ。でも、その現実を受け入れることはできる。なら見て欲しい!
「わかった!皆行くぞ!繋がれ!」
刹那、セレビィが光り輝く。ここに来た時のように。と、俺の意識はここで途切れた。