07
気がつくと再び発電所にいた。一体今のは…
「貴様の失った記憶の一部だ。」
「俺の記憶…」
そうは言われても信じていいのだろうか。もしそうなら俺の相棒らコウキ。しかし、コウキはシンオウ地方の人間だ。そんなことある訳が無い。なら…
「まあいい。いずれ知ることになる。」
ガチャ、という音を聞いて俺は我に返った。
「…そのことは後だ!」
もうさっきのは関係ない!まずはコウキを助けることだけ。
「止めろ!」
「
こっちでも私に歯向かうか…。目障りだ。リクヤ。」
「分かっております。あなたはこっちです。ブーバーン、[オーバーヒート]です。」
「グアッ!」
ブーバーンの[オーバーヒート]をまともに喰らってしまった。そのまま地面に叩きつけられる。
「ミドリ!」
[サイコキネシス]で動きが封じられてしまったヒカリが叫んだ。
「俺は大丈夫だから…」
ふとナエトルとコリンクの方を見る。
『許せない…』
『オイラ達はお前らの事を絶対に許せない!』
明らかにさっきと様子が違う…刹那、2人の体が光り輝きを放った!
「まさかここで…」
そう。ナエトルはハヤシガメに、コリンクはルクシオに進化したのだ!
進化の光はエーフィの[サイコキネシス]を跳ね返した!これでヒカリ、ハヤシガメ、ルクシオは自由に動けるようになった!
『喰らえ![ソーラービーム]!』
『[でんげきは]!』
「…始めるぞ。」
アカギが光線銃の引金を引いた。
「うがァァァァァァァっ!」
スゲー苦しそうに叫ぶコウキ。対してハヤシガメの[ソーラービーム]とルクシオの[でんげきは]がアカギを目掛けてまっしぐら。
「『『行っけぇぇぇぇっ!』』」
アカギまであともう少し…あと1m…。
しかし、その時だった。
ピシュウッ
銃から光が出なくなった。加えてコウキが魂か抜けたかの様にグデンと立ってた。と思ったらアカギもコウキもサッと2つの光をかわす。
「…コウキ?」
明らかに普段のコウキとは全然違う。何だろう。オーラというか雰囲気というか…
「…ゴウカザル、ブイゼル。」
モンスターボールからゴウカザルとブイゼルを出す。と、耳を疑うようなこんな事を言ったのだ。
「お前たちとはここでお別れだ。」
『『!?』』
突然、ゴウカザルとブイゼルを手放す宣言をしたのだ。これには2人だけじゃない。俺もヒカリも驚いた。
「ちょっとコウキ?どういうつもりなの?あなたが大切に育ててきたポケモンでしょ?なんで…」
「いいから。もう僕はお前たちとは一緒にいられない。ねーちゃんも、ミドリも…」
そう言うと、コウキはアカギに連れられてヘリコプターに乗り込む。
「待って!」
ヒカリが追いかけるのも時すでに遅し。ヘリコプターはあっという間に空高く上昇し、遠くへ飛びさっていった。
発電所に残されたヒカリはそのまま膝から倒れ込んで泣いた。俺とゴウカザル達はただただ突きつけられた現実を受け容れるしかなかった。