05
『じゃあ、コウキがギンガ団員となった成り行きから話すね。』
―――――side ブイゼル――――――
あれはボクたちがノモセシティに向かって歩いていた時のこと。
「よし!今日はここで野宿しよう。」
『シンジ湖のほとりでの野宿か。』
『キャンプみたいでお洒落だね。』
テントを建てて、3人で食事をしているとき。
『あなたがフタバタウンのコウキさんですね。』
怪しげな男が近寄って来た。ボクとモウカザル――当時のゴウカザル――は警戒する。
「はい。そうですけど…」
「ボスがお呼びです。行きましょう。」
「行きましょうってどこ……」
ズドン!
バタッ
「安心してください。麻酔銃で眠っただけです。」
『コウキ!?』
『クソっ!テメェ……』
ボクはコウキに駆け寄る。モウカザルは臨戦態勢。今にも[かえんぐるま]を繰り出しそうな。
「おっと、やりますか?私、こんなもの持ってるんですが。」
懐から取り出したのは拳銃。ボクにだってそれをまともに食らったらひとたまりもないってこと位わかってる。
「あなたがたが邪魔しなけりゃ彼には危害を加えませんよ。」
『くっ!しょうがない。』
ボクたちは大人しくついて行った。虎視眈々とコウキを救う機会を伺うも全くスキを見せない徹底ぶり。
「着いたぞ。」
トバリシティの変な建物には車で移動した。コウキは後部座席で眠ったまま。目を覚ます気配を全く感じない。
そこからさらにとある一室に連れて行かれた。荘厳な作りの部屋だ。
「アカギ様。ご指示の通り連れてまいりました。」
「ご苦労。目を覚まさせてやれ。」
「はっ。」
そいつがコウキの腕に注射すると…
「ふぁぁぁ〜。なんで寝ちゃったんだろう…ってここどこ?確かにシンジ湖のほとりで野宿してた筈なのに…」
「君がコウキくんか。ようこそ。宇宙開発研究所へ。」
アカギが椅子から立ち上がってこっちに歩いてきた。
「突然連れてきてしまって申し訳ない。君にも、君のポケモンたちにも怖い思いをさせたね。」
「いえ…。でも、僕はどうしてここに連れてこられたんですか?」
「それは我々に君の力が必要なのだよ。」
「僕の力?」
コウキが首を傾げる。
「君、宇宙とかそういうのが大好きでしょ?」
そう。コウキは宇宙とか天文とかそういうのが大好きだった。今回の旅でも、毎日星空を眺めている。
「今、我々は記憶と宇宙の関係を研究しているんだ。是非とも君に協力して欲しい。」
「ハイ!喜んで。」
それからボクたちの方を見て「良いよね。」とでも言わんばかりの視線を送る。コウキにとっては大好きなことだからやりたかったんだろう。
こうして、コウキはギンガ団の一員になった。