03
「おお。そうじゃった。呼び出したんじゃったな。」
「もう…忘れないでくださいよ!ってねーちゃんもいたんだ。っとそちらは?見かけない顔だね。ひょっとして引っ越してきた?」
コウキと名乗った彼はまじまじと俺のことを見る。
「こっちは私の弟のコウキ。こっちは…」
「ヒカリの弟なら信頼できる。自分で話すよ。」
そりゃ誰だってこんな奴を紹介しろなんて言われても困るだけ。ヒカリに代わって自分で全てを話す。
「えっと…異世界からやって来た人間?ポケモン?どっちでもいいや!仲良くしよう!」
俺とコウキはがっちり握手を交わす。
その瞬間だった。
「うっ!」
突然頭痛に襲われる。思わずその場に座り込んでしまった。
「君?大丈夫??」
「うがァっ!!!!」
突如目の前が真っ暗になる。そして、こんな声が聞こえた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「よくやった!流石俺のパートナー!さあ、行くぜミドリ!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
…何だったんだ?でも、俺の中で1つ確信した。
「ミドリ…俺の名前はミドリ…」
「名前を思い出したの?」
「やったじゃん!」
「何かよくわかんないけど俺に向かって言われた気がする…」
「何でもいいさ!」
「そうだよ!名前だけでも思い出せて良かったね。改めましてよろしくね。」
今度はヒカリと握手を交わす…が、何も起こらない。さっきのは一体…?
「それでは本題に入ろう。コウキを呼び出したのは、お前さんにテンガン山の最奥部から石を採取してきて欲しいのだ。ダイノーズやジバコイルの進化の秘密を研究するのに試料として必要なのだ。が、どうだろう。ミドリとヒカリとコウキの3人で行ってきては。ミドリはヒカリとコウキを信頼しているし、ミドリが人間になってしまった訳を旅をして探してみるといいだろう。」
博士が旅に出るように提案した。旅か…
「それいい!ねーちゃんもそう思わない?」
「私も賛成!ミドリも行こうよ!」
2人は行く気マンマン。確かに、俺が人間になってしまった訳は知りたい。
「俺も…行きたい。」
「決まりじゃな。」
そう言って、博士は3つのビリリダマみたいな球を持ってきた。
「このモンスターボールにはそれぞれナエトル、ヒコザル、ポッチャマが入っている。元ポケモンでも現人間だ。丸腰で旅に出るのは認めん。野生のポケモンが襲ってくるかも知れんからな。
お前さんの大切なパートナーだ。じっくり考えて選ぶがいい。」
「因みに私はポッチャマを選んだよ。」
「僕はヒコザルを選んだ。」
じっくり考ろって言われても、その3匹なら答えは決まった。
「同じくさタイプのナエトルにします。分かり合えるところもあると思うし」
「そうか。これがナエトルのモンスターボールだ。」
モンスターボール…こんな小さな球に閉じ込められて可哀想だ。
「お前さんにしてみれば可哀想かもしれんが、大切なパートナーを危険から守る為だ。ほれ、早速出してみなさい。」
「こうするんだよ。」
コウキが自分のモンスターボールからポケモンを出す。
『コウキ呼んだか?』
コウキのモンスターボールから出てきたのはゴウカザル。最初に選んだヒコザルが進化したみたいだ。
俺もコウキと同じようにナエトルを出す。
『ふぁぁぁぁ…君が僕のパートナー?』
「ああ。俺はミドリ。よろしくな。」
『あれ?僕の言葉がわかるの?まあいいや。よろしくね!』
おっとりしたマイペースな奴だ。見た目らしい。
「私も!出ておいで!」
ヒカリもボールからエンペルトを繰り出す。コウキのゴウカザル同様、ポッチャマから進化したみたいだ。
「ゴウカザル、エンペルト、彼らは僕たちの新しい友達のミドリとナエトル。これから皆で旅に出るんだ。」
『おう、お前ら新入りだって?旅の先輩として言わせてもらうと怖いもんなんてなんもねーからな!安心して俺たちについて来いよ!』
『いやいや、あんたが一番怖いわよ。』
「2人とも仲良いな。よろしくな。」
『あんた俺たちの言葉がわかるのか?』
「まあ、訳あって。」
『そう。ま、アタシたちそういうの気にしないから。よろしくね。』
『よろしくおねがいします!先輩!』
一通り話が済んだところで。
「では君たち、行ってきてくれるな?」
「「「はい!」」」
「頼んだぞ!」
こうして俺たちは旅に出ることになった。