01
ここはどこだ?誰かが俺を呼んでいる――。
「…きて!起きて!」
目を開けると、目の前には人間が1人。俺の相棒…じゃないな。目の前にいるのは女。
「あ、目を覚ました!良かったあ。君ね、リッシ湖で倒れてたんだよ!」
「ああ、どうも…。」
「どういたしまして。でも君、あんなところでどうしたの?」
「どうしたの?って言われても…ん?」
俺は違和感を感じた。目の前にいるのは人間な訳で…ポケモンの俺の言葉が通じる訳なくて…
「に…人間と会話ができてる!?」
「何言ってるの?君だって人間のクセに。」
「え?」
そいつは俺を鏡に写して見せる。
「に…人間になってる!?」
「ウフフ!君って面白いね!」
いや、面白いねじゃない。俺はこの世にキモリとして生を受けて…あれ?
「何も覚えてない…」
「何も覚えてない!?」
俺は今までどんな自分だったのか、一体どこで何をしていたのか、さっぱり思い出せないのだ。ただ一つハッキリしているのは、俺がジュプトルだったこと…。
「ひょっとしたらナナカマド博士なら何かわかるかも知れない…」
「ナナカマド博士?」
「ポケモン研究の権威者だよ。きっと力になってくれるよ。さ、行こ!」
彼女に手を引っ張ってもらって立ち上がる。なんか今までとは目線が高くなったのが良く分かる。
「済まないな…」
「いいよ!ゆっくりで。歩ける?」
彼女は俺に至れり尽くせり。今までとは違う体の感覚を彼女に手伝ってもらって、一歩ずつ進んで行った。